研究課題/領域番号 |
21K11622
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
臼井 真一 鳥取大学, 医学部, 教授 (50346417)
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研究分担者 |
篠畑 綾子 岡山大学, 保健学域, 助教 (70335587)
下廣 寿 鳥取大学, 医学部, 講師 (90583758)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | HDL / メタボリックシンドローム / 脂肪肝 / アポリポプロテインE / 肥満 / アポE / 生活習慣病 |
研究開始時の研究の概要 |
血液中のコレステロールを運搬する善玉の高密度リポ蛋白質(HDL)には,蛋白組成の異なる様々なHDLが存在することが知られています。最近の我々の研究では,アポEという蛋白質を含有するアポE含有HDLがメタボリックシンドローム患者で低下していることを確認しました。本研究では,このアポE含有HDLがメタボリックシンドロームで低下する分子メカニズムを解明し,生活習慣病におけるアポE含有HDLの意義を明らかにしていきます。この研究により,HDLをターゲットとした生活習慣病の新しい予防戦略や治療法に向けた基盤確立が期待されます。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き,動物実験を中心に研究を実施した。8週齢で入手したラット(Sprague-Dawley)を高コレステロール飼料(1%コレステロール)で2週間飼育し,1週ごとに採血を実施して,短期間のアポE含有HDLの変動を評価した。高コレステロール飼料群では,1週目ですでにアポE含有HDLの減少傾向が見られ,2週目では有意に低下した。また,2週目のアポE含有HDL濃度は9週目の濃度(昨年度実施)と同程度であったことから,2週目以降ではアポE含有HDL濃度は変動しないと推測された。コントロール飼料群との比較では,高コレステロール飼料群で2週目に肝臓のコレステロール蓄積が認められたが,血圧,体重,血液生化学(血糖値,ALT,AST,など)に有意差は見られなかった。高コレステロール飼料によるアポE含有HDL低下の原因を探る目的で,採取した肝臓におけるリポ蛋白代謝関連遺伝子やレステロール代謝関連遺伝子の発現を調べたところ,HDL形成に関与するABCA1(ATP-binding cassette protein A1),胆汁酸合成に関与するCYP7A1(cytochrome P450 7A1)のmRNA発現が高コレステロール飼料群で増加していた。一方,コレステロールのエステル化に関与するACAT2(acyl-coenzyme A: cholesterol acyltransferase 2)のmRNA発現は低下していた。これらの結果から,血中のアポE含有HDL濃度の低下はメタボリックシンドロームの前段階とも考えられる肝臓の脂肪蓄積が関連している可能性がラットの実験で示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の動物実験は予想通りの実験結果が得られた。また,肝臓の脂肪蓄積がアポE含有HDLの変動に関与している可能性について新たな知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析でmRNA発現に変動が見られた遺伝子については,ウエスタンブロッティングによる蛋白質レベルでの解析を予定している。肝臓におけるコレステロール蓄積がどのようなメカニズムでアポE含有HDLの変動に影響するかを明らかにするために,培養肝細胞を用いた実験を予定している。
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