研究課題/領域番号 |
21K11625
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
加隈 哲也 大分大学, 医学部, 教授 (80343359)
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研究分担者 |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 准教授 (00423715)
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 講師 (10457624)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 職員健康診断 / 糖代謝異常 / 血糖自己測定 / FreeStyleリブレ / 行動変容 / 代謝改善 / 定期健康診断 / 脂質異常 / 肝機能障害 / 内臓脂肪型肥満 / 高度肥満 / 食育 / 保健指導 / 行動療法的方法論 / 糖尿病前症 |
研究開始時の研究の概要 |
健診後の対応については、以下のような懸念がある。1:データのフィードバックが画一的でマンネリ化していること(マンネリズム)、2:少なからず医療費が嵩むため、医療機関の受診を控えてしまうこと(金銭的課題)、3:時間的制約があるため、医療機関の定期受診自体が億劫になること(時間的制約)、4:代謝異常の多くは自覚症状がないため、健康障害おける危機感を自覚しにくいこと(不顕性健康障害とモチベーション維持の困難さ)などがあるが、それに対して、職場内の当センターで無償で保健指導を実施し、セルフモニタリングによる参加型の指導を行うことで、上記の4つの問題点を打破した実践的な健康管理を目指す。
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研究実績の概要 |
職員のメタボリックシンドローム発症予防を目的として、糖尿病前症に相当する職員(HbA1c5.6%以上で、かつ、BMI25以上、またはウエスト周囲長が男性85cm以上女性90cm以上を満たした職員健診受診者)、また保健管理センターの職責は職員の健康増進を目的としているため、糖尿病治療中で希望があった職員に対して、FreeStyleリブレ(間欠的持続血糖測定器:isCGM)を用いた保健指導を案内し、実施した職員と実施しなかった職員の次年度の健康診断時のデータを比較検討した。さらにオプトアウトで3年後の健康診断時のデータも併せて比較検討した。 実施しなかった職員では、日常生活の改善に関する質問に対し、その割合はほぼ変化がなく、毎年同内容の回答をしていることがわかった。一方で、実施した職員では、日常生活を改善するつもりがない割合が減り、改善にとり組んでいる割合が増えていた。具体的には、身体活動を増やした方が増え、就寝前の夕食摂取を避け、また朝食を欠食する職員が減っていた。また、血糖効果薬、降圧薬、脂質代謝改善薬の内服する割合が有意に増加していた。これまで健診後に医療機関の受診干渉をしても受診しなかった方が、受診したことがわかった(自ら、紹介状を希望して来室された方もいた)。代謝データの変化量(退職や移動で翌年の健康診断を受診していない方、投薬の開始された方は除く)では、実施しなかった群ではほとんど変化がなかったのに対し、実施した群では多くのデータに改善がみられ、ウエスト周囲長、血圧、肝機能には有意な違いが観察された。なお、1年後にBMIが1以上低下した割合は、実施群では非実施群の3倍ほど有意に高かった。さらにウエスト周囲長、血圧、肝機能の改善は、リブレによる保健指導を修了して3年後でも同様に観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FreeStyleリブレを実施しなかった職員(isCGM非実施群)では、翌年度の健康診断のデータはほぼ変わっていなかったが、実施した職員(isCGM実施群)では、多くの代謝パラメータが改善し、一部のデータには有意差が認められた。BMIが1以上低下した割合が、実施群では非実施群より3倍ほど高かったが、BMIが1以上上昇した割合は、約12-13%と両群に違いはなかった。このことは、このような介入をしてもしなくても、12-13%の方は1年後にはBMIが1以上上昇してしまうことを示しており、保健活動の限界を感じるものであった。なお、実施後のアンケート調査では、リブレによる自己血糖測定の満足度は高かった。血糖値の変化を「単に」知ることではなく、血糖を気にして測定する行為の頻度が高いほど、食事や運動への意識ならびに肥満・糖尿病への意識が高くなっていることがわかった。つまり、セルフモニタリングこそが、生活改善の意欲の向上と関係しており、行動変容の起点になることが確認された。このことは今後の保健指導における重要なポイントになると考えている
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今後の研究の推進方策 |
このプロジェクトは、保健指導を希望した職員(ある意味、一定数の『モチベーションの高いであろう』職員)の行動が、職場全体に良い影響を与えてくれることを目標としている。このような健康指導の介入が、職場全体の健康意識に、また健康診断のデータに変化を与えていないか、注意深く観察する予定である。同時に、脂肪肝の診断には画像診断が必要とされるが、通常の採血を中心とした健診レベルでの評価と動脈硬化への影響についても解析していく予定としている。
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