研究課題/領域番号 |
21K11641
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
坪山 宜代 (笠岡 宜代 / 坪山宜代) 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター, 室長 (70321891)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 災害 / 栄養 / 備蓄 / 食料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は自然災害やCOVID-19等のパンデミック時において、食・栄養不足を回避するために家庭での食料備蓄を促進することを目的とする。 依然として進まない家庭備蓄に対する意識を変えるために、「義務的」な後ろ向き意識を伴う備蓄ではなく、むしろ「備えたくなる備蓄」に転換させるために、旧来とは異なる新しい切り口のアプローチに向けた調査(質的研究含む)および開発を実施する。 これより、家庭での食料備蓄を促進させ災害時・緊急時の栄養不良を軽減させるとともに、平時の食・栄養への意識を高めることも目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は自然災害やパンデミック時において、食・栄養不足を回避するために家庭での食料備蓄を促進することを目的としている。依然として進まない家庭備蓄に対する意識を変えるために、「義務的」な後ろ向き意識を伴う備蓄ではなく、むしろ「備えたくなる備蓄」に転換させるために、旧来とは異なる新しい切り口のアプローチに向けた調査(質的研究含む)および開発を実施する。これより、家庭での食料備蓄を促進させ災害時・緊急時の栄養不良を軽減させるとともに、平時の食・栄養への意識を高めることも目指す。 三年目である2023年度は、昨年度までに実施した「備えたくなる備蓄」の調査について、質的記述的分析を行った。特に「どんな災害食が欲しいか」という設問について質的に分析したところ、「対象者にあわせた災害食」、「簡単で食べやすい」、「保存・保管しやすい災害食」、「栄養のある災害食」、「種類が多い・組み合わせができる」、「日常でも食べられる・災害時だけにとらわれない」、「美味しい」、「食べる温度を考えた災害食」等のカテゴリーが抽出された。これらを反映させた「備えたくなる災害食」の開発が求められる。 また、自治体の計画において家庭備蓄に関してどの程度記載されているのか、大阪府吹田市の備蓄計画等を事例として質的に分析した。自助・共助での備蓄については主食のみならず副食について記載があることが明らかとなり、自治体においても家庭備蓄の推進に努めていることが明らかとなった。 さらに、2023年度は関東大震災から100年目であったため、関東大震災時の食・栄養に関する文献をレビューし、演繹的に分析した。100年前の関東大震災時においても食料の備えが十分でなく、発災2-3日間は食べられなかった人が何万人もいたことが明らかとなった。一方で、政府による軍艦を用いた大規模食糧輸送が行われており、速やかな食料支援も行われていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では家庭備蓄が進まない現状を変えるために、「備えたくなる備蓄」に意識転換させ、旧来とは異なる新しい切り口のアプローチを探索することを目的としている。 2023年度は、令和6年能登半島地震が発生し、発災時の後方支援等の支援活動が多く発生していた中においても滞りなく研究を進めた。特に、「備えたくなる備蓄」としてどのような災害食が求められているのかについて質的記述的分析を行い、求められる主要なカテゴリーを明らかにすることが出来た。どのような災害食を開発し普及させることが期待されているのかについて、旧来とは異なる新しい切り口のアプローチに向けた大きな意味をもつ分析結果を得た。また、食料備蓄に関する現在の自治体における取組状況および過去の歴史として100年前の関東大震災時の食料備蓄についてもレビューを行い原著論文として報告した(坪山(笠岡)ら.日本災害食学会誌. 2024 他1報)。 以上より進捗状況を評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に引き続き、「備えたくなる備蓄」の調査結果の質的記述的分析を進める。 今年度は「どんな災害食が欲しいか」について質的記述的分析を行い、主要なカテゴリーを抽出することが出来た。そのため2024年度は、「備えたくなる備蓄」として旧来とは異なる新しい切り口の災害食の開発に着手する。しかしながら、災害食を開発するだけでは「備えたくなる」方向へ意識を転換することは不十分であると考えられるため、今年度は特に、食料備蓄を進めるための仕組みにも着目する。具体的には、「どうして日本の家庭備蓄が増えないと思うか」、「家庭備蓄をUPするにはどのような方法や仕組みが欲しいか」について、オンライン調査で得られた自由回答のテキストデータを用いて質的記述的解析を行い、食料備蓄促進につながる仕組み構築の糸口を探る予定である。 さらに、今年度実施した自治体における食料備蓄の質的分析から、家庭備蓄についても自治体は積極的に進めていることが明らかになったため、それらの取り組みの状況や備蓄率促進に向けてさらなる取り組みについて、社会実装を目指して対策方法を検討する。
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