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FUT8二量体化機構を標的にした炎症性疾患・がんの治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K11647
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59040:栄養学および健康科学関連
研究機関佐賀大学

研究代表者

井原 秀之  佐賀大学, 医学部, 准教授 (50452834)

研究分担者 江口 裕伸  兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (60351798)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワードFUT8 / 二量体 / 活性型 / 活性型二量体形成 / SH3ドメイン / α-helical ドメイン / 糖転移酵素
研究開始時の研究の概要

アスパラギン結合型糖鎖(N型糖鎖)の主要構造のひとつであるコアフコースは、受容体タンパク質・接着分子・抗体分子などの機能を調節することから生命活動に必須であることが知られている。一方で、近年コアフコースの異常な増加が炎症性疾患やがんなどの疾病に関与していることも明らかになってきた。本研究では、コアフコース合成を触媒するFUT8の特徴的な2つのドメイン(α-helical ドメイン、 SH3(Src homology 3)ドメイン)を介した活性型二量体形成に着目し、詳細な二量体化機構の解明とそれを基にした二量体形成の制御系を構築し、コアフコースがかかわる疾病に対する治療薬開発の分子基盤とする。

研究実績の概要

FUT8はN型糖鎖のコアフコース構造の生合成を触媒する糖転移酵素であり、がんや炎症性疾患などに関わる可能性が示唆されていることから近年注目されている。
FUT8は、触媒ドメインとN末端側にあるα-helicalドメイン(coiled-coil domain)とC末端側にあるSH3(Src homology3)ドメインといった2つの独特な付加ドメインから構成されていることが明らかにされている。FUT8の酵素活性には二量体化と付加ドメインの適切な空間的な配置が必要であることから、これらドメインはFUT8の活性をコントロールし得る部位としてその正確な機能解析が期待されている。
本研究ではFUT8の活性制御が可能な方法の開発を目的としてα-helicalドメインに注目し、α-helicalドメイン内の疎水性残基がFUT8の二量体形成を介した酵素活性の発現にどのように影響を及ぼしているのかを明らかにすべく継続して研究を実施している。前年度までに明らかにしたFUT8の酵素活性に影響をおよぼすα-helicalドメイン内の疎水性アミノ酸残基の変異体を更に詳細に解析をおこなったところ、これら残基の変異体においては側鎖の疎水性度の低下に伴って酵素活性が減少することが示されα-helicalドメインの疎水性アミノ酸残基側鎖の疎水性相互作用がFUT8の酵素活性に重要な役割を果たしていることが強く示唆された。また、触媒ドメインや2つの付加ドメインとは異なる部位である膜貫通領域近傍のアミノ酸残基にシステインを導入した変異体で見られる共有結合を介した二量体形成が、α-helicalドメイン内の疎水性アミノ酸残基への変異導入により減少することが明らかになったことからα-helicalドメインの疎水性アミノ酸残基側鎖の疎水性相互作用がFUT8の全体構造での二量体形成や分子間の近接にも必要であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究室がある研究棟の改修工事のため、今年度は充分な研究活動を行うことができなかった。
本年度は、FUT8のα-helicalドメインの疎水性アミノ酸残基側鎖の疎水性度と酵素活性が相関することを明らかにし、変異導入残基のアミノ酸側鎖を介した疎水性相互作用がFUT8の酵素活性発現に大きく寄与していることが示された。また、疎水性アミノ酸残基変異体とステム領域での共有結合を介した二量体形成を行うカイコFUT8を模した膜貫通領域近傍のアミノ酸残基をシステインに置換した変異体を組み合わせた解析により、FUT8二量体におけるα-helicalドメイン間の疎水性相互作用の減少が二量体形成時の分子間の近接を妨げていることが示された。
本年度得られた結果は、次年度以降においてα-helicalドメインを標的にしたFUT8活性制御の方法を開発するうえで有益な情報であると思われる。

今後の研究の推進方策

今後は、FUT8のα-helicalドメインの疎水性相互作用の減少がSH3ドメインの空間配置におよぼす影響について調べて、α-helicalドメインを標的にしたFUT8酵素活性阻害法の開発を行う予定である。併せてα-helicalドメイン変異体が、糖鎖構造やシグナル伝達といった細胞機能にどのような影響を及ぼすのか明らかにしFUT8変異体を用いた病態モデルの作製についても試みる予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] The Roles of the N-terminal α-helical and C-terminal Src Homology 3 Domains in the Enzymatic Functions of FUT82021

    • 著者名/発表者名
      Ihara Hideyuki、Ikeda Yoshitaka
    • 雑誌名

      Trends in Glycoscience and Glycotechnology

      巻: 33 号: 193 ページ: E69-E73

    • DOI

      10.4052/tigg.2025.1E

    • NAID

      130008042838

    • ISSN
      0915-7352, 1883-2113
    • 年月日
      2021-05-25
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] FUT8の酵素機能におけるN末端α-へリカルおよびC末端SH3ドメインの役割2021

    • 著者名/発表者名
      井原秀之、池田義孝
    • 雑誌名

      Trends in Glycoscience and Glycotechnology

      巻: 33 号: 193 ページ: J69-J73

    • DOI

      10.4052/tigg.2025.1J

    • NAID

      130008042839

    • ISSN
      0915-7352, 1883-2113
    • 年月日
      2021-05-25
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] コイルドコイルドメイン内に位置するアミノ酸側鎖の疎水性度の変化がヒトα1,6-フコース転移酵素(FUT8)の活性型形成に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      井原 秀之, 岡田 貴裕, 谷口 直之, 池田 義孝
    • 学会等名
      第96回 日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 部位特異的変異導入によるFUT8活性型形成にかかわるα-ヘリカルドメインの 機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      井原秀之、岡田貴裕、谷口直之、池田義孝
    • 学会等名
      第41回 日本糖質学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ヒトα1,6 フコース転移酵素( FUT8 )の酵素活性に影響を 及ぼす α ヘリカル(コイルドコイル)ドメイン内疎水性アミノ酸残基の探索2022

    • 著者名/発表者名
      井原秀之、岡田貴裕、谷口直之、池田義孝
    • 学会等名
      第95回 日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ヒトα1,6-フコース転移酵素(FUT8)のα-ヘリカル(コイルドコイル)ドメインにおける高次構造形成に関わる疎水性アミノ酸の機能解析2021

    • 著者名/発表者名
      井原秀之、岡田貴裕、谷口直之、池田義孝
    • 学会等名
      第94回 日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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