研究課題/領域番号 |
21K11683
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
石川 朋子 聖徳大学, 人間栄養学部, 教授 (70212850)
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研究分担者 |
藤原 葉子 お茶の水女子大学, 名誉教授 (50293105)
日下部 守昭 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任教授 (60153277)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 肝線維化 / ビタミンE / 間質 / 細胞・組織 / ビタミン / NASH / 類洞内皮細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH) は、近い将来、肝癌の主因になると予測される生活習慣病で、有効な予防・治療法の開発は喫緊の課題である。ビタミンE投与は、弱いながらも線維化を抑制する効果が示されているものの、NASH治療においては、治療効果への期待と副作用への懸念のバランスから、未だ絶対的選択肢とはなっていないのが現状である。本研究は、食餌誘導性NASHモデルを用いて、ビタミンE同族体の肝線維化抑制作用を増強する間質環境を明らかにすることを目的としている。ビタミンE同族体の肝線維化抑制作用の好適環境が明らかになれば、新たな予防法や治療製剤の開発、治療戦略に寄与することが期待される。
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研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、近い将来、肝癌の主因となると予測される生活習慣病関連疾患で、有効な予防法・治療法の開発は喫緊の課題である。近年では、肝実質細胞の脂肪蓄積軽減や炎症の鎮静のみならず、NASH重篤化の鍵となる肝線維化の抑制・改善にも注目が集まっている。ビタミンE投与は、以前からNASH治療において一定の有用性が示されながらも、治療効果への期待と副作用への懸念のバランスから、未だ絶対的選択肢とはなっていないのが現状である。本研究では、ビタミンE同族体のNASH改善効果とそれを増強させる間質環境の探索を目的としている。 NASH回復期モデルのひとつとして、NASH初期病態から、厳しい食事制限を伴わない回復期を想定した実験系を組み、回復期におけるビタミンE投与が間質環境に与える影響を解析した。NASH誘導食(CDAHFD)を3週間給餌して初期NASHを誘導したのち、高脂肪食を2週間与え(HFD群)、緩やかな治癒過程を再現した。この時、ビタミンE投与群には、HFDにビタミンE同族体であるα-トコフェロール(αToc群)もしくはトコトリエノール混和物(T3群)を添加した餌を与えた。ビタミンE投与両群では、肝障害マーカーである血中ASTは有意に低下した。HFD群では、間葉系細胞マーカーや線維化および毛細血管化を促進する遺伝子の発現が促進されたが、ビタミンE投与はこれを有意に抑制した。しかし創傷治癒における間質調節因子であるテネイシンC(TNC)の遺伝子発現に変化はみられなかった。一方、組織解析ではビタミンE投与両群においてPDGFRβ陽性細胞が多数観察され、星細胞の活性促進が示唆された。回復期の星細胞活性化と組織修復の関連についてさらなる検証が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
回復食に高脂肪食を用い、緩徐な回復過程を再現した。TNC存在下において、遺伝子解析では、回復期に線維化や毛細血管化が促進され、ビタミンE投与がこれを抑制する可能性が示唆された。しかし組織学的手法により間質環境を精査したところ、ビタミンE投与群で活性化星細胞マーカーであるPDGFRβ陽性細胞が多数認められた。回復期の間質環境について、タンパク質レベルでの更なる精査が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
NASHからの回復過程において、線維化抑制との関連が予測される間質関連分子の形態学的解析を継続する。線維化の進行度についても、形態計測を含めた客観的指標を用いて精査する。またTNC遺伝子をノックアウトしたマウス(TNCKO)を用いた同様の実験系においても、回復期のビタミンE投与が間質環境に与える影響を組織形態学的に検証する。
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