研究課題
基盤研究(C)
γ-リノレン酸(GLA)は月見草油に豊富に含有されるn-6系多価不飽和脂肪酸です。本研究では、下部泌尿器平滑筋の収縮機能異常に対するGLAの抑制効果の背景にある分子基盤の解明を解明することを目的とし、膀胱、精管、前立腺、尿道平滑筋などの下部泌尿器平滑筋の収縮反応に対するGLAの抑制効果を検討するとともに、GLAの抑制効果の作用機序をカルシウムチャネルの関与を中心に検討します。また、生体位の膀胱運動に対するGLAの治療効果を検討し、GLAの下部泌尿器疾患に対する有用性を明らかにします。
本研究では、下部泌尿器平滑筋の収縮機能異常に対する植物油に含有される成分であるγ-リノレン酸(GLA)の抑制効果の背景にある分子基盤を解明することを目的として、下部尿路平滑筋に対するGLAの収縮抑制効果を検討した。その結果、GLAが膀胱、尿道、前立腺、精管平滑筋において、アセチルコリン、ATP、ノルアドレナリン、KClなどによる収縮反応を広範に抑制する性質を見出すとともに、その抑制作用機序の一部に電位依存性Ca2+チャネルまたはその下流の細胞内情報伝達に対する抑制が関与する可能性を明らかにした。また、その過程で血小板活性化因子(PAF)が膀胱平滑筋を収縮させる新たな作用を有することを発見した。
下部泌尿器平滑筋の収縮反応に対する長鎖脂肪酸の影響に関しては国内外を含めてほとんど検討されておらず、本研究で見出したGLAの下部泌尿器平滑筋の収縮に対する抑制効果は、これまで見逃されていた薬理作用であると考えられる。また、本研究結果は、GLAの摂取が、前立腺・尿道平滑筋の収縮に起因する前立腺肥大による排尿困難や膀胱平滑筋の過収縮による過活動膀胱の発生に対して有効な予防・改善効果をもたらすことが大いに期待できることを示している。さらに、PAFが膀胱平滑筋を収縮させる作用はこれまで見逃されていた薬理作用であり、このリン脂質が排尿障害の新たな内因性誘発因子である可能性が明らかとなった。
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