研究課題/領域番号 |
21K11706
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
大橋 綾子 (小林綾子) 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (90272484)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 線虫 / ABC輸送体 / ペプチド輸送 / 腸内顆粒 / オルガネラ形成 / 健康寿命 / 質量分析 / アンチエージング / オルガネラ機能 / ペプチド / 精製 / 指標 |
研究開始時の研究の概要 |
寿命や老化の研究にも良く用いられているモデル生物 線虫C elegansにおいて、成虫の初期から中期にかけて出現する機能未知の腸内顆粒(細胞内オルガネラ)を見出しました。成虫の加齢が進むにつれ、増大してくる脂肪滴と入れ替わるように、この顆粒は消失してしまいます。本研究課題は、この顆粒を「若さの指標」と捉え、顆粒に内包される因子を同定し、「健康寿命促進因子」の候補として、健康寿命との関わりを調べるものです。
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研究実績の概要 |
寿命・老化の研究でも知られるモデル生物 線虫C elegansにおいて、幼虫の後期から成虫の初期の腸細胞内に出現する機能未知の顆粒(細胞内オルガネラ)を見出しました。この顆粒は、成虫の加齢とともに消失してしまいます。本研究課題は、この顆粒を「若さの指標」と捉え、顆粒に内包される因子を同定し、「健康寿命促進因子」の候補として、健康寿命との関わりを調べるものです。 具体的には、(1)注目する顆粒(HEBE顆粒と命名)の内包分子の同定、(2)顆粒内包分子がこの顆粒の維持と健康寿命に与える影響の解析を行います。また、(3)寿命促進候補医薬品についても解析し、最終的に顆粒の維持を指標とした「健康寿命促進因子」の探索系の構築を目指します。 今年度は、計画(1)にあげた内包分子の同定を更に進めました。前年度に、顆粒表面に発現させたGFP融合膜タンパクへの抗体・磁気ビーズによる免疫磁気精製により、HEBE顆粒を回収することができたため、その含有タンパク質(ペプチド)の質量分析後、マスコット解析を利用したタンパク質の同定を開始しました。更に、HEBE顆粒を有さない変異体と有する野生株から、単離したオルガネラ画分から酸可溶性画分をそれぞれ抽出し、ペプチドを標識後に質量分析を行い、その差を内在性ペプチド画分と捉え解析しました。検出されたペプチド(2ー8アミノ酸残基)に含有されるアミノ酸配列から、ペプチドは特定のアミノ酸に偏っている傾向がみられ、顆粒に存在するトランスポーターやプロテアーゼの基質特異性との関連を解析する段階に進みました。 計画(3)にあげた寿命促進候補医薬品に注目した研究も進めました。腸細胞内の顆粒の状態を変化させる医薬品を見出しました。この阻害剤存在下では、検討した濃度範囲内では線虫の飼育方法(固形培地培養と液体培地培養)によらず、濃度依存に成虫への成長遅延が生じていました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進展がやや遅れています。研究は予想した結果を得ておりますが、その解析のための時間が必要です。現時点での想定外は、医薬品の効果を見る実験系の工夫が必要になったことですが、改良の目処はついています。講座教員の削減を伴う教育エフォートの増加や、兼務等の研究外エフォートの増加により、研究時間の確保が厳しいことが影響しています。特に、過去2年間新型コロナウイルス感染症対策と県外兼務出張の関係で、線虫の長期飼育を伴う実験計画(日程調整)の立て難いことも進展に影響しています。 本年度後半に、人材派遣会社を通じて研究補助員を一時採用しましたが、技能習得とコストの兼ね合いから本研究計画には合わなかったため、生物飼育補助を中心に作業いただいた後、雇用継続には至りませんでした。年度末に、分析業務および遺伝子解析と線虫飼育の経験者が予算内で本研究に参加できる状況となったため、次年度技術補佐員として採用する予定です。(繰り越した予算の一部を活用します。)
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今後の研究の推進方策 |
注目する顆粒の有するタンパク質と低分子ペプチドを中心に分析を進めてきました。今後の予定としては、検出された低分子オリゴペプチドのアミノ酸配列の特徴と、顆粒に局在する、高分子のタンパク質(輸送体やプロテアーゼを含む)の情報を合わせて、候補分子を推定します。得られた候補分子(必要に応じて標識し検出できるようにする)を線虫に添加する、もしくは遺伝子レベルで個体内に発現させ、腸内顆粒への影響を調べます。 また、内在性候補分子とは別途すすめている候補医薬品に関しては、成長遅延が生じない濃度や投与時期を検討した上で、腸内顆粒への影響を調べうる系の構築を進めます。
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