研究課題/領域番号 |
21K11722
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
伊藤 智広 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (30435854)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 骨細胞 / 膜小胞 / メカニカルストレス / 破骨細胞 / 分化 / 取り込み / 糖鎖 / 膜脂質 / 分化誘導 |
研究開始時の研究の概要 |
メカニカルストレスを感受した骨細胞が放出する膜小胞は,「まず骨が壊され,新しい骨が作られる」という骨のホメオスタシス機構を成り立たせる役割の一つを担っているではないかと作業仮説を立て,これまでにこの膜小胞が骨の溶解を担う破骨細胞の分化を誘導することを発見した。本課題では,さらに破骨細胞の分化ツールとして機能するこの骨細胞由来膜小胞がどのような機構によって未分化の破骨細胞に分化誘導情報を伝達するのかについて,膜小胞表面に存在する分子と膜小胞を受容する前駆破骨細胞の特徴から解明する。本検討より,骨代謝調節機構の新たな知見を示すとともに,膜小胞の骨粗鬆症等の骨疾患への応用利用の可能性を探る。
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研究成果の概要 |
機械的刺激後の骨細胞から分泌される膜小胞には、破骨細胞の分化を誘導する能力があることが判明した。この誘導機構には、機械的刺激によって内包されるタンパク質が関与している可能性が強く、これらタンパク質のN型グリカンが破骨細胞の分化誘導に関与することも報告されている。レクチンチップアレイ分析におけるα-2,6-シアル酸修飾N型グリカンの量の増加は、推定タンパク質の関与を強く裏付けた結果といえる。また、単一細胞分析により、骨細胞から分泌された膜小胞の大部分が前駆破骨細胞に取り込まれるものの、その一部が破骨細胞に分化することが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
運動など骨に荷重負荷を与えるとその荷重に適応する骨の強度を上げるために既存の骨をまず壊す工程が始まる。本研究では、この骨溶解の機構に荷重負荷のセンサー細胞である骨細胞が分泌する膜小胞が関与していることを明らかにすることができた。さらに、この骨細胞からの膜小胞だけでは分化誘導は調節されておらず、この膜小胞を受容する前駆破骨細胞の表現系(型)も重要であることが明らかとなり、この両条件が整った細胞のみ破骨細胞へ分化することが可能となると考えられた。「まず骨が壊され,新しい骨が作られる」という骨恒常性機構における骨細胞とその膜小胞の一役を示す結果といえる。
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