研究課題/領域番号 |
21K11732
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
|
研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
黒川 和宏 国際医療福祉大学, 薬学部, 講師 (30454846)
|
研究分担者 |
辻 稔 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (70297307)
宮川 和也 国際医療福祉大学, 薬学部, 准教授 (10453408)
高橋 浩平 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (90846411)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | ストレス / 雌性 / うつ病 / ストレス適応 / ミエリン / オリゴデンドロサイト / 海馬 / 雌 |
研究開始時の研究の概要 |
ランニング運動によりAMP活性化プロテインキナーゼが活性化することが明らかにされている。また、ミエリンの形成障害がストレス性精神疾患の発症に関与することが明らかにされている。本研究の目的は、雌性マウスを用いて、ランニング運動がミエリンの形成に及ぼす影響を多角的に実証し、ストレス性精神疾患の発症の予防あるいは改善の可能性を提唱することである。また、本研究の遂行により、未だ不明な点が多いストレスに対する脳内の恒常性維持機構やストレス性精神疾患の病態生理の解明に大きな前進をもたらし、性差に基づいた新規治療薬の開発に向けた創薬研究の推進に貢献することが期待される。
|
研究実績の概要 |
昨年度までの検討において、雌性マウスの海馬ミエリンは雄性マウスよりもストレスに対して脆弱である可能性が示唆された。また、雄性マウスに1時間の拘束ストレス刺激を14日間慢性負荷することにより、ストレスに対して適応し情動行動の低下を示さないストレス適応モデルマウス(適応マウス)が認めることを明らかにしている。また、この適応モデルマウスの海馬におけるミエリン構成タンパク質[MAG、MBP、proteolipid protein(PLP)および2’,3’-cyclic nucleotide 3’-phosphodiesterase(CNPase)]の発現量に有意な変化は認められないことを報告している。これらの知見を基に、2023年度は、雌マウスを用い1時間の拘束ストレス刺激を14日間慢性負荷した。その結果、ホールボード試験における情動行動の有意な低下、つまり非適応が認められた。また、これらのマウスの海馬におけるMAG、MBP、PLPおよびCNPaseの発現量を検討したところ、MAGおよびMBPのタンパク質量が有意に減少していた。これらの結果は、雄性マウスを4時間の拘束ストレス刺激負荷を行った場合で認められる変化に相当し、これまでの雌性マウスを用いた検討から、雌性マウスは雄性マウスよりもストレスに対して脆弱であることが明らかになった。 ミエリン形成にはアストロサイトが関与していることが報告されている。そこで、アストロサイトのタンパク質発現量に性差が認められるかを検討した。興味深いことに、1時間および4時間の拘束ストレス刺激を慢性負荷した雌性マウスでは、GFAPタンパク質の発現量に有意な増加が認められた。一方、雄性マウスではこれらの発現量に有意な変化は認められなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、雌性モデルマウスの脳内におけるミエリン構成タンパク質、オリゴデンドロサイト前駆細胞、成熟型オリゴデンドロサイト、アストロサイトおよびミクログリアの発現量ならびに形態変化を免疫組織化学染色法により評価する予定であった。しかしながら、共焦点レーザー顕微鏡の故障により延期せざるをえなかった。そこで、修理後直ぐに免疫組織化学染色法が行えるように、雌性モデルマウスを作製し、ホルマリンの灌流固定を行いサンプル作製した。そのサンプルで、脳切片を作製し、レーザー顕微鏡の修理を待った。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度では、免疫組織化学染色法に従い、それらのモデルマウスの脳内におけるミエリン構成タンパク質、オリゴデンドロサイト前駆細胞、成熟型オリゴデンドロサイト、アストロサイトおよびミクログリアの発現量ならびに形態変化を解析する予定である。また、ストレス性精神疾患モデルマウスにAMPK活性化薬を投与することで、ストレス適応能力に対する影響を検討する。ストレスに対するミエリン障害に性差が認められることから、ストレス負荷した場合におけるオリゴデンドロサイト転写因子についてreal-time PCR法に従い、ミエリン形成と相関性を確認する。
|