研究課題/領域番号 |
21K11737
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
|
研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
根本 正史 創価大学, 公私立大学の部局等, その他 (80370980)
|
研究分担者 |
屋嘉比 康治 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90182295)
川井 秀樹 創価大学, 理工学部, 教授 (90546243)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 脳腸相関 / 摂食行動 / 消化管ホルモン / グレリン / 腹側被蓋野 / 報酬系 / GCaMP / ライブイメージング / 視床下部 / カルシウムイメージング |
研究開始時の研究の概要 |
げっ歯類をモデル動物に、消化器系組織から分泌されるホルモンを末梢投与、食欲が亢進し食行動を開始する初期過程から、満腹を感知し食行動を終止するまでの摂食過程において、時系列を明確化して、視床下部、脳幹、脳深部報酬系の神経核群の活動と摂食行動の動的過程をライブイメージングする。 すなわち、食思に関わる情報伝達経路において、消化管ホルモン、神経ペプチド相互の挙動、各神経細胞集団の活動、出力となる摂食行動を可視化し、脳腸相関実行過程の一部始終を描出する。最終的に、消化器系組織の情報発信から中枢神経系の応答について、日常生活の摂食過程に即して明らかにし、食行動の有効な調節法開発に資する基盤情報を提供する。
|
研究実績の概要 |
A 神経活動のCa2+イメージングの為にGCaMP6sを発現する組み換えアデノ随伴ウィルス(rAAV)を調整: ① pAAV:GCaMP6s発現の為pAAV.Syn.GCaMP6s.WPRE.SV40を使用 ② pRC:Rep/Cap遺伝子を含む ③ pHelper:アデノウィルス由来E2A、E4、VAを含む。①~③の3種類のプラスミドを293T細胞にコトランスフェクション。産生されたrAAVベクターを抽出。PCRで力価定量。 B. 摂食行動訓練、行動観察、消化管ホルモン投与タイミングを検討: レバーを押すとチューブから強粘性の食餌が一定量排出される装置を作製、レバー押しで食餌が摂れるように野生型ICRマウス(60-70日齢)を訓練。摂食行動は赤外線カメラで録画。摂食行動のコントロールとグレリン投与時の行動変化を通し適切な実験タイミングを検討。摂食行動の減少する明期と亢進する暗期で比較。レバー押しイベント情報は摂食意欲と満腹感との競合の結果として評価。 C. 腹側被蓋野(VTA)へのrAVVベクター定位的注入と屈折率分布型(GRIN)レンズ挿入: 神経活動可視化の標的領域をVTAに設定。頭頂骨上から、マイクロシリンジで定位的にrAAV注入。次いで先端が同じ位置になるように0.5 mm径GRINレンズ挿入、Miniscope v4装着の為にベースプレートを固定。 D. VTA神経細胞群の活動と摂食行動のライブイメージング: Miniscopeを装着しFree moving摂食行動中と消化管ホルモン腹腔内投与時を比較。 E. 脳の免疫組織化学的分析とGRINレンズ挿入位置の確認: 実験終了後、脳切片作成と組織免疫染色を行う。抗GAD67抗体(GABA神経)、抗TH抗体(ドーパミン神経)、Hoechst33342(核)にて染色、VTA内の細胞種同定とGRINレンズの挿入位置を確認。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験手技とその手順は確立してきたが,まだ実験されたマウスの個体数が少ない為,(1)夜行性のマウスは,一日のうちで摂食,飲水行動を行う時間帯と頻度はヒトと異なる。どの時間帯に実験をすべきか,どの程度の飢餓時間を設けるか,消化管ホルモン投与のタイミングなど,実験の目的と関連する最適化に時間がかかっている。(2)rAAVベクター投与によるGCaMPの適切な発現の為の最適化に時間を要している。(3)グリンレンズによるライブイメージングによって可視化された神経細胞活動がどの細胞種の活動を表わしているのか同定が困難。死後に行われる脳切片作成と組織免疫染色で知ることは困難。これらの問題を克服,少なくとも精査する必要がある為に遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
進捗状況で述べた3つの困難それぞれに対して,条件別に実験したマウス個体数を増やして,最適化された条件を探索する。その中で,脳腸相関に関わる消化管ホルモンの役割を明らかにする。薬理学的には,agonist-antagonistの投与による神経活動と摂食行動の変化から,肥満や痩せに関わる疾患群の治療可能性を探る。
|