研究課題/領域番号 |
21K11752
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大舘 陽太 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (80610196)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | グラフ構造パラメータ / FPTアルゴリズム / グラフアルゴリズム / グラフパラメータ / パラメータ化計算量 |
研究開始時の研究の概要 |
グラフ上で定義される多くの問題は計算量理論上難しいことが分かっている.そのような問題に対し,グラフの分解可能性をあらわす構造パラメータを用いたアルゴリズム設計が有効である.木分解の幅によって定義される木幅がその代表的な成功例であるが,研究の発展により,一般の木分解では手に負えない問題が見つかってきている.本研究では,木分解に関連したグラフ構造パラメータの階層を見直し,グラフ分解への制限を大幅に弱めた構造パラメータを導入することで,高速アルゴリズム設計可能範囲を拡大することを目指す.さらに,既知の困難性をさらに強い制限の下で示すことにより,重要問題に対するきめ細やかな知見獲得を目指す.
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研究実績の概要 |
グラフ構造パラメータが作る計算量階層の詳細化によるアルゴリズム設計と計算量解析を研究し,主に以下の成果を得た. ・これまでに得られている頂点インテグリティに対するアルゴリズムの一部を統一して一般化するアルゴリズム的メタ定理を示した.単項二階論理で記述できる問題に対する木幅を用いたアルゴリズム的メタ定理(Courcelleの定理)が有名だが,本結果は対象範囲を木幅限定グラフからから頂点インテグリティ限定グラフに狭める一方,扱える問題を大幅に広げるものである.また,様々な問題がこのアルゴリズム的メタ定理で解決できることも示した.特に,Defective彩色問題や,種々の最小アライアンス発見問題が頂点インテグリティによるFPTアルゴリズムをもつことを初めて示した. ・組合せ遷移問題に対してグラフ構造パラメータに関する研究を行い,結果として様々問題を一度に解決するアルゴリズム的メタ定理を示した.ここでも単項二階論理を用い,近傍多様性というグラフ構造パラメータに関する結果を示した.また,木深度に関してもアルゴリズム的メタ定理を示すとともに,その一般化の限界を与える困難性も示した. ・有向グラフ上での独立集合スライディング問題を導入し,様々な場合の計算量を解明した.特に,木を向きづけしたグラフに対してこの問題が多項式時間で解けることを示した. ・グラフ上のトークンの逐次交換問題を研究し,これまでに知られていた多項式時間可解性をすべて含む一般的な解法を与えた.また,NP困難性を示すための一般的な定理も与え,弦グラフなどに対する困難性がそこから導かれることも示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の中心的研究対象である頂点インテグリティに関し,あるアルゴリズム的メタ定理を示すことができた.これは,これまでに得られている頂点インテグリティに対するアルゴリズムの一部を統一して一般化するもので,今後の研究においての理論的基礎を与えるものである.
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今後の研究の推進方策 |
ここまでに得られた頂点インテグリティに関するアルゴリズム的メタ定理の適用範囲の拡大またはその限界の解明を行っていく.また,組合せ遷移問題に関するアルゴリズム的メタ定理をさらに研究する.特に,組合せ遷移問題の頂点インテグリティに関するパラメータ化計算量の解明は今後の課題である.
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