研究課題/領域番号 |
21K11753
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 真人 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (50293973)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | プログラミング言語 / 意味論 / 圏論 / 量子トポロジー / テンソル圏 / ラムダ計算 / オペラッド / プログラム意味論 / 実装モデル / 低次元トポロジー |
研究開始時の研究の概要 |
プログラミング言語の意味論(プログラム意味論)は、プログラムの挙動を数学的に正確かつ抽象化して捉えることにより、プログラムの性質を議論するための数学的基盤と有効な道具を与えるものである。従来のプログラム意味論は、主として、高水準の、抽象度の高いモデルを与えることで多くの成果を挙げてきた。一方、プログラミング言語の実装モデル}に焦点をあてたプログラム意味論は未だ発展途上段階にある。 本研究では、プログラミング言語実装モデルと、結び目の理論等の低次元トポロジーの親和性に焦点を当て、低レベル・超低レベルの実装モデルに対応できるトポロジカルなプログラム意味論の構築を行う。
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研究実績の概要 |
従来のプログラム意味論は、主として、高水準の、抽象度の高いモデルを与えることで多くの成果を挙げてきたが、その一方、プログラミング言語の実装モデル}に焦点をあてたプログラム意味論は、未だ発展途上段階にある。本研究は、プログラミング言語実装モデルと、結び目の理論等の低次元トポロジーの親和性に焦点を当て、低レベル・超低レベルの実装モデルに対応できるトポロジカルなプログラム意味論の構築を目指すものである。本年度の主な成果は以下のとおりである。 (1)プログラム意味論の非可換化の基礎として、変数の順番の入れ替えを許さない平面ラムダ計算に対応する平面コンビネータ代数の理論を、平面オペラッドの概念を用い構築した。特に、平面コンビネータ代数に内在する位相幾何的構造を閉オペラッドとして取り出すアイデアを見出し、コンビネータ代数から閉オペラッドを構成する普遍的な構成を与えた。この構成は平面コンビネータ代数だけでなく、対称性(変数の入れ替え)を認めた線型ラムダ計算や、変数の入れ替えをブレイド(組み紐)として表現するブレイド付きラムダ計算に対応するコンビネータ代数についても適用できる。特に、ブレイド付きコンビネータ代数については、未解決だった公理化を与えるために本質的な役割を果たした。 (2)プログラム意味論と低次元トポロジーに共通する基本的な構造であるトレース付きモノイダル圏の基礎理論の整備を進めた。上述のコンビネータ代数の研究に関連して、トレース付きモノイダル圏の構造を内包するコンビネータ代数が存在することを発見した。 これらの成果のうち、前者は、論文にまとめ投稿し、国際会議にて発表し出版した。 後者は現在論文を準備中であり、近日中に投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンビネータ代数のなかに隠れている位相幾何的構造をオペラッドとして取り出すという新しいアイデアにより、多くの新しい知見が得られ、理論構築が順調に進んでいる。この研究を出発点に、内外の研究者と活発に議論を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度出版した論文ではオペラッドによるコンビネータ代数の理論の全体像を示したが、その詳細の具体的な記述やさらなる精密化・拡張のために、取り組むべき様々な課題が明らかになってきている。特に、外延性という仮定を外した一般化に取り組む。さらに、ブレイド付きコンビネータ代数とそのトレース演算子による拡張については様々な発見が得られつつあり、その整備を急ぐ。
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