研究課題/領域番号 |
21K11757
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
宇野 裕之 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 教授 (60244670)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 数理パズル / アルゴリズムの設計と解析 / 離散数学 / 組合せ遷移 / 計算折り紙 / 組合せゲーム理論 |
研究開始時の研究の概要 |
(1) (数理的な) パズルやゲームが持つ計算原理やアルゴリズムを解明すること, ついで(2) それらに共通する構造や解法を見出し,高いレベルで抽象化しより一般的な問題解決技法として体系化すること, を主要な2つの目標とする. そのうえで発展的には, (3A) 体系化された技法を利活用な形で提供し, 応用分野と連携を図りさまざまな実問題を解決すること, (3B) 教育素材となるパズルやゲームを考案・開発することを行う. これらにより結果的に, 数理的パズルやゲームの研究を情報科学の学問分野の一つとして確立させ, 分野発展への間接的な貢献を目指すものである.
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研究実績の概要 |
本研究は,数理的なパズルやゲームが持つ計算原理やアルゴリズムを解明すること,さらにそれらに共通する構造や解法を見出し,高いレベルで抽象化しより一般的な問題解決技法として体系化することを主要な2つの目的としている.そのためにより具体的には,とくに理論計算機科学や離散数学の見地から,普遍性を持ち応用上も重要と思われる数理的パズルやゲームを見出し,個別にその計算原理の解明や解法アルゴリズムの開発を行うことを基本的かつ優先的な事項として実施する.過去2年に渡っては,この分野で重要な意味を持つスライディングブロックパズルのある種の一般化であるGourdsと呼ばれるパズルや,ゴミ圧縮問題と呼ばれる一種のパズルを対象とし,それらを組合せ遷移問題の視点から考察するなど成果を積み重ねてきた.これらを踏まえて3年度目にあたる令和5年度は,上述の2種類のパズルに対する考察を深めてさらなる重要な結果を得ることを重ねた.これに加えてあらたに数独を一般化した問題を扱い,ラテン方陣との関連から興味深い観察を得た.さらには,地図の平坦折り問題を継続して扱い,計算機実験によるアプローチも取り入れて,過去に見られない新しい結果を得つつある.これ以外にも,正多面体の一種の展開図による平面充填問題や.非交差全域木の遷移問題などの興味深い問題を幅広く調査し扱っている.また,アウトリーチ啓発活動の一つして,学会誌において数理的なパズルを実際に作成するプロや専門家による記事を集めた特集を編集した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初より,計画初年度および2年度目は,既知パズルの解法調査,未知パズルの調査,個別パズル・ゲームの理論的解析,それ資する求解プログラムの作成を実施項目として設定したうえで,3年度目はそれらのさらなる追求とアルゴリズムの汎用設計技法としての真価を掲げている.これに対して3年度目の研究実績としては,その構造に一般的な普遍性を持ち得る具体的なパズル的な問題を対象とし,それらに対してさまざまな数学的な観点からの結果や組合せ遷移問題としての最短手数求解手順の開発や,実験的な考察,計算機実験による求解および解が持つさまざまな規則性を見出すことによる性質を検証などを実施することができた.くわえて,計算問題としても重要な未解決問題とされる地図折り問題を扱い,重要な観察を蓄積している.
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今後の研究の推進方策 |
計画当初より,計画初年度および2年度目は,既知パズルの解法調査,未知パズルの調査,個別パズル・ゲームの理論的解析,それ資する求解プログラムの作成を実施項目として掲げていた.これに加えて3年度目は,当初計画どおり折り紙を対象に加えてその数学的性質の解明に着手し実施した.4年度目はとくに地図の平坦折り問題を探求し,未解決とされるその計算複雑さを明らかにした上で,そのアプローチをアルゴリズムの汎用設計技法として昇華させたい.また,さまざまなパズルの原理,解法などを分類するとともに,研究成果をわかりやすく見せるためのアプリケーションの開発やアウトリーチにも着手したいと考えており,一部その作業を開始している.
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