研究課題/領域番号 |
21K11765
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
フン・ドック トゥアン 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20633465)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 省エネデータセンター / 処理速度可変 / 遅延 / Capacity Drop / 集団サービス / 流体極限 / 安定条件 |
研究開始時の研究の概要 |
現代のデジタル社会の情報基盤はクラウド・コンピューティングであり,データセンターがその中核の役割を担っている.特に,昨今コロナ禍では多くの企業がテレワークを導入しており,その役割が一層重要である.これらのデータセンターは多数のコンピュータで構成され,大量の電力を消費しているが各々のコンピュータの稼働率は30~40%に留まっている.一方,現在の計算機技術ではコンピュータがジョブを処理しなくても処理する時の約60%の電力を消費している.本研究では省エネ機構を有するサーバで構成されるデータセンターシステムを数理的にモデル化・解析し,システムの運用の方針を提供する.
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研究実績の概要 |
負荷に応じて処理能力が変化するシステムの理論的深化を行った.具体的には省エネデータセンターを起動時間と容量無限を有する複数サーバ待ち行列の応答時間(滞在時間)の分布の解析解を検討した.本モデルの応答時間の分布は注目客が到着時に観測系内の状態の分布のみならず,その後に到着するジョブにも依存するため,分布版のLittleの公式により直接系内のジョブ数の分布から得られない.そこで,注目客が観測する系内状態に加え,システム滞在中に到着する客数も考慮したマルコフ連鎖を構築し,滞在時間分布のLaplace Stieltjes変換(LST)を導出した.さらに,AI推論サーバを意識した集団サービスモデルの解析を展開した.このモデルについて系内ジョブ数の分布を効率的に計算するアルゴリズムを開発した.また,応答時間の分布も検討した. これらに加え,関連モデルとして交通道路におけるCapacity Drop(DC)現象の確率モデル化を行った.交通道路におけるDC現象とはしばらく渋滞すると交通捌く性能が低下するものである.この現象を再現する待ち行列モデルを構築し,準出生死滅過程によって解析した.また,MaaS等のオンデマンド交通システムのモデル化と解析を行った.それに加え,ブロックチェインや機械学習を含めた人工知能システムにおける性能評価モデルの開発を進めた.さらには待ち行列理論において,客の戦略的な行動を考慮して,種々のモデルにおける解析を進めるとともに統一的な方法論を検討してきた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
処理能力可変型システムに関する一連のテーマを実施し,結果が得られ,論文をまとめる段階である.
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今後の研究の推進方策 |
データセンターにおけるサーバの処理能力の異種性を考慮して,新しいモデルの構築を行う.さらに,再生可能エネルギーをも使用したデータセンター等の情報システムのモデル化を行う予定である.
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