研究課題/領域番号 |
21K11776
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(機構本部施設等) |
研究代表者 |
佐藤 寛子 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(機構本部施設等), 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50291068)
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研究分担者 |
岩田 覚 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (00263161)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 3次元分子構造 / 類似性判定 / 汎用的最小二乗偏差G-RMSD法 / 分子設計 / 反応予測 |
研究開始時の研究の概要 |
分子の立体的な構造は活性や物性を決める重要な要素の1つであり,近年のコンピュータ性能の向上によって高精度かつ大規模な3次元(3D)分子構造データの獲得と蓄積が可能となってきた。本研究では,データサイエンスの活発化と相まって今後さらに活発化すると期待される3D分子データ活用のための新技術の確立と実証を目指し,データ化学と離散情報学を融合させた効率的アルゴリズムを開発し,分子の3D幾何構造に関する応用研究を実施する。具体的には,我々が最近開発した汎用的3D分子類似度判定法G-RMSDを中心に新規アルゴリズムを開発し,分子設計・検索や化学反応予測における従来法では困難な問題の解決に挑戦する。
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研究実績の概要 |
分子の立体的な構造は活性や物性に関わる重要な要素の1つであり、近年のコンピュータ性能の向上により高精度かつ大規模な3次元(3D)分子構造データの獲得と蓄積が可能になってきた。本研究では、データサイエンスの活発化と相まって今後さらに活発化すると予想される3D分子データ活用のための新技術の確立と実証を目指し、データ化学と離散情報学を融合させた効率的アルゴリズムを開発し、分子の3D幾何構造に関する応用研究を実施する。具体的には、我々が最近開発した汎用的3D分子類似度判定法G-RMSDを中心に新規アルゴリズムを開発し、分子設計や化学反応予測等における従来法では困難な問題の解決に挑戦する。 令和4年度までに、(1)分子間のRMSD最小値の最適解を保証する厳密解法の開発・実装、(2) G-RMSDの数値演算のMATLABからOctave(フリーオープンソース)ベースへの移植、(3)化学応用のための分子動力学(MD)シミュレーションの実施、(4)化学反応の最安定経路を同定する新手法の開発を実施した。 令和5年度は、上記(1)の成果をX-GRMSD(オープンソース)として公開するとともに、上記(3)(4)の化学応用を進めるにあたり、化学反応経路探索プログラムGRRM計算結果の解析機能を強化した。具体的には、GRRMによる化学反応経路マップ生成計算の途中経過をモニタリング表示・解析する機能を開発・実装・公開した。本研究で実施中の反応経路の網羅的探索の場合、通常、月・年単位の計算時間を要する。これまではGRRM計算が終了したものについてのみ解析が可能であったが、今回の実装により、途中経過をモニタリングしながら、当研究課題の最安定経路同定への応用テストを実施することが可能となった。また、これまでの研究成果を国際会議(招待)と投稿論文(査読付)でそれぞれ発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、データサイエンスの活発化と相まって今後さらなる活発化が期待される3次元(3D)分子データ活用のための新技術の確立と実証を目指し、データ化学と離散情報学を融合させた効率的アルゴリズムを開発し、分子の3D幾何構造に関する諸問題の解決に取り組む。具体的には、我々が最近開発した汎用的3D分子類似度判定法G-RMSDを中心に新規アルゴリズム開発と応用研究を実施し、薬物設計や化学反応予測、分子検索における従来法では困難な問題の解決を狙う。 令和3、4年度には(1)分子間のRMSD最小値の最適解を保証する厳密解法の開発・実装、(2) G-RMSDの数値演算のMATLABからOctave(フリーオープンソース)ベースへの移植、(3)化学応用のための分子動力学シミュレーションの実施(4) 化学反応の最安定経路を同定する新手法の開発を実施した。 3年目となる令和5年度は、(1)の厳密解法のソフトウェアをオープンソースとして公開するとともに、(3)(4)の化学応用を進めるために、化学反応経路探索プログラムGRRM計算結果の解析機能を強化し、オープンソースとして公開した。具体的には、GRRMによる化学反応経路マップ生成計算の途中経過をモニタリング表示・解析する機能を開発・実装した。今回の実装により、月・年単位で計算時間を要する反応経路探索計算の終了を待たずに、途中経過をモニタリングしながら、当研究課題の最安定経路同定への応用テストを実施することが可能となった。基礎データ計算とプログラム開発・実装は現在も継続中である。令和6年度は、これらを継続するとともに、新たな化学応用の課題にも着手する予定である。解析ソフトウェアの改良が必要であったことなどから、応用に関して当初の予定よりは若干の遅れはあるものの、全体として概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究実施計画に則り初年度の研究を開始し、概ね計画通りに進捗している。初年度と2年目(令和3、4年度)は、アルゴリズム開発やプログラムの移植、分子動力学シミュレーションにより本研究の基本手法とデータ基盤を重点的に拡充するとともに、2、3年目(令和4、5年度)にはこれらを利用した化学反応経路予測や遷移状態予測などの応用研究のための手法開発にも着手し、種々の必要なプログラム開発と化学反応経路データの蓄積を行なった。4年目となる令和6年度には、化学応用の成果を出すとともに、新たな化学応用の課題にも着手する予定である。当初の研究実施計画に変更はなく、これに沿って研究を推進していく計画である。
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