研究課題/領域番号 |
21K11802
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
志村 隆彰 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 准教授 (40235677)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 極値理論 / 正則変動関数 / 離散化 / 確率分布の離散化 |
研究開始時の研究の概要 |
極値理論は、数多くのランダムな数値のうち、最大値のような極端なもの(極値)を研究対象とする分野である。数学としての極値理論は、数値が連続(いくらでも細かい値を取りうる)であると仮定することが多いが、統計解析で用いられる数値データは、精度が限られている。この研究は、対象とする数値が本来連続であるが、それが丸められた数値しか得られない状況を想定し、極値統計において、連続データが丸めによって離散データになることによって生ずる不都合について考察し、その対策を立てることを目標としている。
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研究実績の概要 |
この研究の目的は、極値統計で離散データを扱う場合の解析精度の向上であり、極値理論では、通常扱う(確率)分布が(最大値)吸引領域に属することを仮定している。実際にもほとんどの分布は吸引領域に含まれている。しかしながら、分布の離散化(確率変数、データでは丸めること)を行うと、吸引領域から外れてしまうことが起こりうる。離散データを使う統計解析では、この離散化の影響が問題になる。主要な問題の一つに、連続分布とこれから生じるが、離散化されたデータが与えられたとき、離散化前の連続データに近づけることがある。分布の言葉で言えば、与えられた離散分布に対して、対応する自然な連続分布を求めることになる(離散分布の連続分布への復元)。この問題に対しては、これまでの研究から、漸近挙動(1次)については、シフトで漸近挙動が変わらない長い裾を持つ分布をはじめ、指数的裾を持つ分布に対しても、特定の分布との合成積を取ることで離散後の分布の漸近挙動を元の連続分布のそれに等しく出来ることがわかっている。令和4年度は、残る裾の軽い分布への対応について考察したが、残念ながら、未だ芳しい結果は得られていない。この問題が難しいのは、裾が重い場合とは違い、裾が軽い分布では離散化した数値の絶対的な大きさに応じた調整が必要なためである。数値の絶対的な大きさを考慮した調整方法はいくつか考えられるものの、一般的な設定で有効な方法を見出すことは非常に困難であると思われる。このため、現在、適当な(強い)仮定、或いは特定の分布に対して問題を考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
計画通り進んでいない理由は、前年度と同じ新型コロナによるパンデミックと以前から 重要なものを含む想定外の業務がいくつも生じたことが非常に大きい。そのため、本来研究に当てる予定の時間を大きな労力が必要な業務に回さざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に当初の研究計画の変更はなく、研究進行上の支障となってきた問題を取り除き、本来計画していた研究活動に戻すことが最重要である。パンデミックについては前年度よりは改善され、多少なりとも国内出張が出来、今後は一層の状況の改善ができるはずである。他の支障となる要因に対する予想、見込みは難しいが、少なくとも今年度のようなことは考えづらく、状況の改善を期待している。研究に関係のない事柄が減ればおのずと研究も進むと思われる。一方、研究においては、「研究実績の概要」で述べたように、問題のひとつにおいて、一般的な設定でよい結果を得ることは困難であることがわかったので、条件と強くすることに加え、全く別の方向でアプローチすることで解決に取り組みたい。
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