研究課題/領域番号 |
21K11805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
吉永 努 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (60210738)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 動画配信 / コンテンツ配信ネットワーク / FPGA応用 / 低遅延通信 / 低消費電力 / 分散協調キャッシュ / D2D通信 / ハンドオーバ / ユーザQoE / FPGA実装 / 低遅延サービス / 低消費電力化 / 通信量削減 / 低遅延応答 / デバイス間通信 |
研究開始時の研究の概要 |
インターネット通信量を削減するためには,通信量の大部分を占めるコンテンツ配信ネットワーク(CDN)の通信効率を改善することが有効である.そこで本研究では,ネットワーク内にキャッシュサーバを分散配置し,それらを独自の軽量な制御で協調動作させて通信路の使用効率を上げる.また,キャッシュサーバに通信プロトコルやストレージ・アクセスを実行する専用ハードウェアを導入し,キャッシュサーバの応答時間を低遅延化する.研究期間内に専用ハードウェアを導入した分散協調キャッシュサーバと実験的CDNを開発し,従来手法に比べ通信量・動的通信電力・コンテンツ取得までの平均遅延時間を大きく削減できることを示す.
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研究実績の概要 |
2022年度は,ネットワークの動画配信サービスを対象として,以下の研究を実施した. 1.高負荷時にも配信サービスが停止しにくいキャッシュサーバの設計と改良 モバイル端末ユーザが通信基地局から受信するデータの受信性能は,基地局からの距離に依存する.また,通信混雑時には受信する動画の画質を自動的に低下させながら,デバイス間(D2D)通信を活用することが有効である.ただし,D2D通信を行うモバイル端末を分散協調キャッシュサーバとして用いる場合,限られたキャッシュ容量をヒット率の高い再利用データに割当てることが重要となる.そこで,通信基地局からモバイル端末までの距離に応じて同心円状の受信領域を設定し,通信基地局に近い受信領域では高画質データ用のキャッシュ領域を多く持たせ,逆に通信基地局から遠い受信領域では低画質データ用のキャッシュ領域を多く持つように制御するLBCA(Load-Based Cache Allocation)方式を提案した.ネットワークシミュレーションによる予備実験を行い,従来方式に対してLBCA方式で動画の視聴特性が改善できることを確認した. 2.FPGA搭載型キャッシュサーバの設計と改良 コンテンツ配信ネットワーク用のキャッシュサーバにFPGAボードを搭載し,FPGAに実装する専用ハードウェアによってキャッシュ制御処理の低遅延化,低消費電力化を図る.2022年度は,自動車に対するネットワークにおけるモバイルエッジ計算(MEC)サーバにFPGA搭載型キャッシュを応用する方式を検討した.MECサーバにFPGA搭載型キャッシュを導入することで,車のハンドオーバ時のデータ受信遅延を削減することが期待できる.シミュレーションによる予備実験を行い,ソフトウェアでキャッシュを制御する方式に比べ,FPGAによってキャッシュ処理の低遅延化が実現できる見通しを得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度と2022年度はコロナ禍の影響を受け,実験室での実験が一部滞ったことにより,進捗はやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究推進方策は以下の通りである. 1.コンテンツ配信ネットワーク用の分散協調キャッシュの改善と評価 2022年度に提案したLBCA方式による分散協調キャッシュについて,より実践的な環境を想定したシミュレーション実験を行い,無線通信の電波強度と通信データの再利用度を考慮したキャッシュ制御方式の改善を行う. 2.FPGA搭載型キャッシュサーバの改良と評価 モバイルエッジ計算(MEC)サーバにFPGA搭載型キャッシュを応用する方式について,FPGA内に実装する専用ハードウェア設計を改良すると共に,より現実的な条件でのネットワークシミュレーションを行い,キャッシュ制御処理の低遅延化と低消費電力化の性能評価を行う.
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