研究課題/領域番号 |
21K11815
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
横山 孝典 東京都市大学, 情報工学部, 教授 (60386357)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | サイバーフィジカルシステム / 組み込みシステム / 分散処理 / リアルタイム処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、車々間通信や路車間通信を利用した高度な自動車制御システムのように、多数のセンサ情報を利用してリアルタイム制御を行うサイバーフィジカルシステム向けのリアルタイム分散処理環境を開発する。本分散処理環境は、時刻情報を付加したデータを用いるとともに論理時間に基づくスケジューリングを行うことで、全ノードでの時刻同期を必要とせずに、通信時間の変動を許容しながら応答時間の制約を守ることのできるリアルタイム分散処理を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究は、分散配置された多数のセンサ情報を利用した分散型組み込み制御システムを対象に、通信時間の変動を許容しながら、時間制約を満たすとともにジッタの少ないリアルタイム分散処理環境を実現することを目的としている。具体的には分散リアルタイムOS(RTOS)と分散ミドルウェアから成る「分散処理基盤」と、「分散処理基盤」上で動作するアプリケーションの開発支援やコンフィギュレーションデータ生成を行うツールから成る「分散システム開発環境」を開発する。 令和4年度は、計画通り、前年度の研究成果をベースに詳細設計および実装を進めた。 「分散処理基盤」のうち分散RTOSについては、入出力タスクを対象とした固定優先度スケジューリング機構と、算出タスクを対象とした論理時間に基づくEDFスケジューリング機構の両者を有するRTOSの実装を進めるとともに、周期タスクのみでなく非周期タスクも扱えるよう拡張した。分散ミドルウェアについては、タイムスタンプ付きメッセージ通信処理機構と論理時間によるタスク管理機能を有する分散ミドルウェアの設計および実装を行った。そして、RTOSに関する学会発表を行った。 「分散システム開発環境」については、Simulinkで設計した制御モデルと分散システム構成情報を入力することで、UMLで記述した分散システムモデルの原型を生成するモデル変換ツールを設計し、その基本機能の実装を行った。また、「分散処理基盤」が参照するコンフィギュレーションデータを生成するツールを設計し、実装に着手した。さらに、分散システムのリアルタイム性の検証を目的に、端点間応答時間制約検証手法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、令和3年度の研究成果をベースに、詳細設計および実装を進めることを計画していたが、一部新型コロナウイルスの影響を受けたものの、ほぼ計画通りに進めることができた。 「分散処理基盤」のうち分散RTOSについては、計画通り、固定優先度スケジューリング機構とEDFスケジューリング機構の両者を有するRTOSの実装を進め、周期タスクのみでなく非周期タスクも扱える拡張については、設計のみでなく実装まで進めることができた。分散ミドルウェアについても、タイムスタンプ付きメッセージ通信処理機構と論理時間によるタスク管理機能を有する分散ミドルウェアの設計および実装を行った。このため、「分散処理基盤」については、当初計画よりやや進んでいると考えている。 「分散システム開発環境」についても、モデル変換ツールの設計および実装を計画通り進めるとともに、コンフィギュレーションデータを生成するツールを試作した。一方、分散システムのリアルタイム性の検証を目的とした端点間応答時間制約検証手法については、若干検討が遅れている部分がある。 以上のように計画より進んでいる事項とやや遅れている事項があるが、全体としてはほぼ計画通り進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は「分散処理基盤」、「分散システム開発環境」とも開発を完了し、性能や有用性について評価を行う計画である。 「分散処理基盤」のうち分散RTOSについては、論理時間に基づくEDFスケジューリングに対応したリソース管理機能の設計および実装を行う予定である。そして、分散ミドルウェアの実装を完了して、分散RTOSと統合動作させて、性能評価を行う。また、「分散システム開発環境」については、Simulinkで設計した制御モデルと分散システム構成情報を入力することで、UMLで記述した分散システムモデルの原型を生成するモデル変換ツールの開発を完了し、その有用性の評価を行う。また、分散システムのリアルタイム性の検証を目的とした端点間応答時間制約検証手法を開発する。 そして本研究の成果をまとめて、学会発表および論文誌への投稿を行う予定である。
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