研究課題/領域番号 |
21K11816
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
池永 剛 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (90367178)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 映像認識 / 超低遅延システム / ハードウェアアーキテクチャ / ハフ変換 / LK法 / サブピクセル変位測定法 / 映像センシング / 超高速超低遅延システム / FPGA / FA検査 / マンマシンI/F / 深層学習 / 映像認識システム / FPGAアーキテクチャ / 実時間画像処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、インタラクティブ応用のための次世代映像センシングのコアとなる、超高速(1000fps)、超低遅延(1~2ミリ秒)映像認識システム実現のための基盤技術創出を行うことを目的とする。具体的には、画像の特徴を用いたマッチング、追跡、分類の3つの映像認識の基本処理を対象とし、実環境下で高い精度が得られるアルゴリズムとして幅広く活用されているAKAZE (Accelerated KAZE)、KLT (Kanade-Lucas-Tomasi) Tracker、CNNなどを取り上げる。
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研究実績の概要 |
インタラクティブ応用のための次世代映像センシングのコアとなる、超高速(1000fps)、超低遅延(1から2ミリ秒)映像認識システム実現のための基盤技術創出を行うことを目的として、様々な映像センシングシステム実現の鍵となる、画像の特徴を用いたマッチング、追跡、分類等の基本処理に対し、実環境下で高い精度が得られる超高速・超低遅延向き映像認識アルゴリズム構成法とそれに基づくハードウェアアーキテクチャの実現を目指した取り組みを行なった。マッチング処理に関しては、周波数領域でのサブピクセルマッチングを可能とする独自のDCT手法として、特徴融合ベースの方向符号のみの相関やフィッティングのないサブピクセル変位測定法などを提案し、FPGA上に実装する事により、0.75msで処理可能な事を実証した。また、適応的なアドレス選択や投票値を遅延なく初期化する手法などの独自提案により、直線検出を可能とするハフ変換を0.77msで処理可能な事を実証した。一方、追跡処理に関しては、LK (Lucas Kanade) 法の繰り返し処理を時間方向に展開する事により、1000fpsで、サブピクセルレベルの追跡を可能とする手法を実証した。さらに分類処理に関しては、深層学習を用いた果物を対象とした欠陥検出を高精度化つ超低遅延処理を可能とするアルゴリズムを検討し、1ms実装の見通しを得た。さらに将来の応用を睨んだ関連技術として、深層学習に基づく人物姿勢推定などに関する検討を行なった。以上の関連成果を5件の原著学術論文、および9件の国際会議(その内3件は、Best Presentation Awardを受賞)にて発信した。また、関連企業との技術交流を積極的に行い、今後、これらの技術を産業につなげていく上で重要となる方向性に関して多くの知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度(2022年度)は、超高速(1000fps)、超低遅延(1から2ミリ秒)映像認識システム実現のための基盤技術実現の具体的な目標として掲げる、画像の特徴を用いたマッチング、追跡、分類の3つの基本処理に対して、FAやロボティクス等の応用を想定し、幅広い課題設定を行い、それぞれが連携しつつ並行して取り組んだ。超低遅延処理実現のためにブレークスルーとなるアルゴリズム・アーキテクチャ構成法に加え、ハードウェア設計並びにFPGA上の実装・評価を行なった。既に、実証を終えているテーマもあり、今後、本プロジェクトの最終目標を達成するための、多くの技術や知見が得られている。また、これらの成果を今年度は5件(2021年度との合計で10件)の学術論文として発信することができたが、特に直線検出を可能とするハフ変換処理や、サブピクセル変位測定法に関しては、インパクトファクターの高い、IEEE trans. Industrial Informatics (IF: 11.6) やIEEE Transactions on Instrumentation and Measurement (IF: 5.3) などの論文誌に採択されており、本取り組みが世界的に高い技術的インパクトを与えつつあると捉えている。さらに、採択された9件の査読付き国際会議では、3件のBest Presentation Awardを受賞しており、会議内でも注目を浴びた。また、関連企業との技術交流により、FAやロボティクスなど実産業につながる見通しを得つつある。以上の様に、研究成果面や情報発信面で、想定以上の順調な進捗が果たせていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(2023年度)は、引き続き超高速(1000fps)、超低遅延(1から2ミリ秒)映像認識システム実現のための基盤技術実現の具体的な目標として掲げる、画像の特徴を用いたマッチング、追跡、分類の3つの基本処理の種々の課題の検討を引き続き進める。具体的には、マッチング処理としては、様々な物体が取り扱える一般化ハフ変換への拡張を検討する。また、輪郭処理により、より安定してコーナ特徴検出が可能なアルゴリズムや、上位レベルでのマッチングが可能なスーパーピクセル処理などを対象に検討を行う。さらにそれらの応用課題の例として、SLAM (Simultaneous Localization And Mapping)や3次元リコンストラクション処理への検討を行う。追跡処理としては、多くの応用における種々な対象物体に対しロバストな追跡が可能なパーティクルフィルターへの適用を検討する。分類処理としては、頭部や任意物体の6DoF (Depth of Freedom) 検出および追跡処理を対象に、超高速超低遅延向けの深層学習ネットワークを検討するとともに、カメラとFPGAボードを組み合わせたデモシステムを構築し、本提案の有効性を実証する。さらに、3年間の集大成として、個々の取り組みをアルゴリズムやアーキテクチャ構成法という形でまとめ、技術体系化する。さらに、昨年度に引き続き、関連企業との技術交流を積極的に行い、将来の産業化において、鍵となる技術や応用、実用化につなげるための問題点などをクリアにする。
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