研究課題/領域番号 |
21K11832
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60050:ソフトウェア関連
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
松原 克弥 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (70302396)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | FreeBSD / ROS 2 / IPFS / P2P / セキュリティ / コンテナ型仮想化 / Linux / コンテナ型クラウド / ネットワークセキュリティ / BitVisor / プロセスマイグレーション / Robot Operating System / ヘテロジニアス / システム監視 / エッジコンピューティング / IoT / クラウド / ROS / 分散システム |
研究開始時の研究の概要 |
今日、様々なサービスの実現にクラウドコンピューティングが広く利用されており、その応答性能はサービスの品質に直結する。特に、低遅延でリアルタイムな応答性能を必要とする自動運転などのIoTシステムにおいて、IoTデバイスの近傍にサーバを配置するエッジクラウドの活用が有効である。 本研究は、低遅延なIoT連携の実現を目的として、エッジ周辺に存在する余剰計算資源を安全かつアドホックにクラウド基盤へ追加できる技術を確立する。さらに、エッジクラウドの計算資源が動的に変化することに対応して、IoTデバイスとクラウドサーバ間の分散処理を動的に再構成可能なIoT制御ミドルウェアを実現する。
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研究実績の概要 |
今年度は、アドホック型エッジクラウド基盤、および、エッジクラウドと連携するIoTデバイスのソフトウェア基盤を実現するための要素技術として、軽量なセキュアコンテナの実現技術、および、ROS(Robot Operating System)ランタイムの最適化に関する研究に取り組んだ。 軽量さと堅牢な隔離を両立した軽量セキュアコンテナの研究では、アプリケーション実行環境の互換性を維持しつつLinuxカーネルを別のOSに差し替えることでLinuxの脆弱性を回避しつつ、別OSが持つセキュリティ機構を透過的に適用することでセキュリティを強化する手法を考案した。本提案とその実現可能性に関する検討は、情報処理学会主催コンピュータシステム・シンポジウムで発表した。 ROSランタイムの最適化に関する研究では、進めているROS通信機構のDDSの動的選択による最適化の実装と評価を進め、国際会議APRIS2023で発表した。また、IoTデバイスとクラウド間で実行中タスク処理のマイグレーションを実現することを目指して、計算機アーキテクチャが異なる環境間で同一のROS実行環境を実現するmROS2 on WebAssemblyの実装を進めた。本研究で得られた知見と成果は、情報処理学会主催ETNET2023で公表した。 委譲で述べた研究に加え、本研究課題に関連する派生研究として、ROSプログラミング学習を対象とした実機ロボット連動Eラーニングシステムの実現、IoTデバイス群などにおけるPeer-to-peer型分散処理における、画像データの動的加工処理とその流通を最適化する機構の実現に関する研究を行った。これらの研究成果は、国際会議APRIS2022とICCE2023で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、エッジクラウド基盤を対象とした軽量セキュアコンテナの実現手法、および、IoTデバイスとエッジクラウドの柔軟で最適な連携を可能とするROSランタイムの研究において、今年度に予定していた実現手法の確立は達成できたが、その技術的難易度の高さから実装に想定よりも時間がかかったため、十分な評価まで進めることができなかった。しかし、前述の確立した実現手法は、国内外の会議において研究成果を発表することができている点で、大幅な遅れではないものと考える。今後、実装したシステムを用いた評価実験を進め、その成果をジャーナル論文としてまとめる作業を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
異種OS機能連携による軽量セキュアコンテナの実現では、FreeBSDを用いたプロトタイプ実装を進め、計算資源の限られたエッジクラウドにおける有用性の評価を行うことを目指す。特に、先行研究で得られている異種OS間プロセスマイグレーション技術や異種OS・異種アーキテクチャ対応技術などを組み合わせることで、柔軟なIoT-クラウド連携を可能にする安心・安全なエッジクラウド基盤を確立したいと考えている。 また、アーキテクチャ中立な軽量ROSランタイムの研究も引き続き取り組んでいく。計算機アーキテクチャが異なる場合が多いIoTデバイスとエッジクラウドでは、軽量とアーキテクチャ中立を両立できるWebAssemblyが実行環境に適していると考える。WebAssembly上で利用できるROS環境の確立を計画している。 今後、上記の実装とその実装システムを用いた評価実験を進め、その成果をジャーナル論文としてまとめる作業を進めていく予定である。
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