研究課題/領域番号 |
21K11837
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60050:ソフトウェア関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
海谷 治彦 神奈川大学, 理学部, 教授 (30262596)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | Process Mining / Conformance Checking / Mutual Contribution / プロセスマイニング / 要求分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,連携可能なシステム群の候補を自動的に発見し,連携しやすさの観点から順序付けする手法とツールの開発を目的とする.現代の業務や生活における活動は,複数の異なるシステム群の連携の上に成り立っている.このような連携によって,単一システムでは成し得ない効率化や付加価値の創造が可能となっている.しかし,連携可能なシステム群の発見は,偶然や人間の機転に依存している.活動をより良くできるシステム群の組み合わせを見落とさないためのシステム群の機能や振る舞いのモデル化と,モデルを用いた連携のしやすさの予測法を構築することが本研究の特徴である.
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研究実績の概要 |
26th International Conference on Knowledge-Based and Intelligent Information & Engineering Systems に A Proposal to Find Mutually Contributable Business or Life Activities Using Conformance Checking という論文を発表した.この論文では,ある業務のモデルと他の業務のログの一致度をProcess Mining技術の中の Conformance Checking の技術を用いて計算する手法を提案している.そして,一致度が高い業務同士が相互に連携可能な業務と判定し,その事例の紹介を行っている.事例の評価より,提案する手法は妥当な結果を導くことが確認できた.一致度が高いか否かを判定する基準として,ログの順序をランダムに並べ替えたランダムログをベースラインとすることがユニークな点である.この手法を実施するために,オープンソースの Process Mining Tool である ProM を用いた.また,データの事前加工を行うためのフィルタツールを独自に作成した. 本論文では上記の点までを発表したが,以下の二点が問題として確認できた.まず,ログには含まれるが,モデルには含まれないログ要素(イベント)があると,一致度が下がってしまうことがある.双方に含まれるイベントの出現順序の一致に着目することで連携可能性を発見できると本研究では想定しているが,現状では順序性以外の要素が排除できていない.二点目は,従来のログやモデルは動詞要素をラベルとしていることに関係する.動詞要素をラベルとするモデルとログでは,本来,連携が可能な業務対を発見できない場合がある.これらの問題点の発見も研究成果といえる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存のオープンソースツールと独自のツールを組み合わせて,連携可能性を判定する手法とツールを開発し,その適用を行うことができた.適用した事例は少ないが,適用範囲においては,期待通りの成果が得られている. 加えて,概要で述べた問題点を明らかにできたため,これらを解決することで,手法の精度を改善できるものと思われる.概要では述べなかったが,これら問題点の解決のためのアイディアの候補もすでにいくつかある.
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今後の研究の推進方策 |
概要で述べた最初の問題点であるログには含まれるが,モデルには含まれないログ要素(イベント)があると,一致度が下がってしまう問題を解決する.具体的なアイディアとしては,このようなログ要素をログからあらかじめ除去する.そして,改めて,ログとモデル双方に含まれるイベント要素の順番不一致のみに注視できるように計算方法を変更する.二点目の問題点では,動詞要素のラベルのみでは連携可能な業務が発見しきれないことである.この問題点を解決するために,動詞ではない場所や道具等の要素を用いたログやモデルを作成し,そのログやモデルを用いて連携可能な業務を見つけるように手法を拡張し,それに伴いツールの拡張も行う.
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