研究課題/領域番号 |
21K11846
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
近堂 徹 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 教授 (90437575)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | マイクロサービス / IoT / 耐障害性 |
研究開始時の研究の概要 |
IoTプラットフォームにおけるマイクロサービスの安定稼働のためには耐障害性の確保が大きな課題である。一方で,プラットフォームの重層化・複雑化により,構成するハードウェアリソースとアプリケーションサービスとの関連性に乖離が発生し,全体像の把握や障害時の問題点の特定がより困難になっている現状がある。本研究では,特にエッジコンピューティング基盤に焦点を当て,プラットフォームの重層性を考慮した複数のメトリクスとサービスのトレースデータを用いた障害検知・特定手法を新たに提案する。
|
研究実績の概要 |
プラットフォームの重層化・複雑化により,構成するハードウェアリソースとアプリケーションサービスとの関連性に乖離が発生し,全体像の把握や障害時の問題点の特定がより困難になっている現状がある。 本研究では,コンテナ管理プラットフォームのサーバリソースやネットワーク特性などのメトリクスを網羅的な収集とそれに基づく効率的な障害検知と原因特定を実現することを目的としている。 本年度は,コンポーネント間の依存関係を組み合わせることで障害原因箇所を特定する手法(前年度に提案)についての評価実験および考察を進め,その有効性を示したものを雑誌論文に投稿し採録された。加えて,サービス間のメッセージングシステムの耐障害性を検証可能なツールの実装と評価,およびマイクロサービス運用支援のための構成可視化システムの設計と実装を通して,マイクロサービスにおける迅速な障害箇所把握を実現するための手法について検討を行った。これらの一部を取りまとめて,国内研究会や国際ワークショップで報告をした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロサービスにおける耐障害性を高めることを目的として,障害検知手法の検討や恣意的に障害を発生させた際の振る舞いを確認,可視化するための手法の提案を進めている。
「コンポーネント間の依存関係に基づく障害原因箇所の特定手法の提案」では,2021年度に提案した手法の有効性を明らかにするために,評価実験や既存手法との比較評価などの考察を追加で行い,その結果を取りまとめて情報処理学会論文誌に投稿,2023年3月号に掲載されている。 「Pub/Subメッセージングシステムの耐障害検証ツールの実装と評価」では,コンテナ技術を利用してメッセージングシステムを任意のサーバ上に展開し,Chaos Engineeringツールを用いて指定した障害を恣意的に発生させることで,コンテナ間通信における耐障害性を検証可能なツールの設計と実装を行った。また,実装したツールを用いて,複数のメッセージングシステムに対して障害を注入した場合の挙動について評価を行った。この成果は,2022年7月に開催された情報処理学会インターネットと運用技術国内研究会や2022年12月に開催された国際ワークショップAINTEC2022のポスターセッションにて報告した。 「マイクロサービス運用支援のための構成可視化システムの設計と実装」では,Kubernetesに代表されるコンテナオーケストレーションツールにおいて,ノードとPodの関係性やPod間の通信制御の可視性向上を目的とした構成可視化システムを提案した。マイクロサービスの基盤としてコンテナ管理は必要不可欠な要素であり,オーケストレーションツールが出力する複数の情報を体系的に整理し,管理者や運用者が構成を把握しやすくするためツールの開発を進めた。
|
今後の研究の推進方策 |
コンポーネント間の依存関係に基づく障害原因箇所の特定手法については,雑誌論文への採録により一定の成果を得られたと判断している。今後は,マイクロサービスにおけるデータ流通を意識し,メッセージングシステムにおける障害箇所の特定手法や耐障害性を向上させるメッセージ配送手法の提案を進める。また,構成可視化システムの拡張を通して,障害検知の可視化による運用者・管理者への適切なフィードバック手法についても検討を進めていく予定である。
|