研究課題/領域番号 |
21K11874
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
|
研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
大塚 裕幸 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 教授 (60594067)
|
研究分担者 |
山口 実靖 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 教授 (50439262)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | モバイルネットワーク / ヘテロジーニアスネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
増加しているモバイルトラフィックを効率的に処理するネットワーク技術として,マクロセル内に複数のピコセルを形成しネットワークの密度を大きくする方法がある.しかしながら,現状の技術ではピコセルの無線リソースを十分に活用できないという課題がある. 本研究では,ユーザが利用するアプリケーションおよびピコ基地局への端末接続比率をもとに個々のユーザがパーソナルピコセルを形成するモバイルネットワークの実現を目的とする.すなわち,個々のユーザのピコセルエリアが異なるパーソナルエリアを形成するネットワーク制御技術を確立する.
|
研究実績の概要 |
(1)5G仕様の無線区間のフェージングモデルをシミュレータに実装した.その過程で,フェージング時の受信SINR対BER特性をリンクレベルシミュレーションにより取得し,その結果を用いてシステムレベルシミュレーションにおける等価的な受信SINRを算出する方法を確立した.この方法を32種類の変調方式と符号化率の組み合わせに対して適用し,それぞれの組み合わせを用いてデータ伝送したときのユーザスループットを測定できるようにした.フルバッファモデルに加えてFTPモデルのプログラム開発を行い,システムレベルシミュレーションに追加実装した.基本的な確認として,ユーザ端末はあるサイズのデータを受信し終えると基地局とそのユーザ端末は通信を終了しそのユーザ端末にはリソース割当てを行わないことを確認できた. (2)ヘテロジーニアスネットワークにおいて,マクロセクター内のピコ基地局毎の端末接続比率をもとに周辺のユーザ端末に対するピコセルサイズを決定するピコセル拡張技術(適応制御型CRE)を考案し,その手法をシミュレータに実装し,基本特性を取得した.また,これまで検討してきたマクロセクター毎のピコ基地局への端末接続比率に基づくピコセル拡張技術との特性比較を行った. (3)ヘテロジーニアスネットワークにおいて,ピコ基地局をセクター化し,さらにそれぞれのピコセクターに3次元ビームフォーミング(3D-BF)を適用する方法を確立し,それらをシステムレベルシミュレーションに実装した.また,ピコセルのセクター数,および3D-BFのビーム数をパラメータとしてユーザスループットの評価を行った. (4)本研究テーマの拡張として全二重無線通信の立ち上げを行った.まずは,全二重無線通信の実現に必要な自己干渉補償技術の検討を行った.今後は,ヘテロジーニアスネットワークに組み込む予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模なシステムレベルシミュレーションを実行するために必要な高速ワークステーションの設計は順調に進展した.また,5Gの無線パラメータ,FTPトラヒックモデル,3D-BF,ピコ基地局毎の端末接続比率を基にした適応制御型CREをシミュレータに実装できた.これにより基本的なユーザスループット特性を取得できるようになったため,研究は順調であると判断している.
|
今後の研究の推進方策 |
(1)トラヒックモデルが正常に動作することを慎重に検証する.その上で,個々のユーザ端末の通信特性をもとにパーソナルピコセルを形成するヘテロジーニアスネットワークの特性評価を進める.また,端末接続比率に基づくパーソナルピコセル手法の効果が大きくない場合は,無線信号品質の指標であるRSRQ, RSRP, SINR,RSSIに基づくパーソナルピコセル手法も追加検討する. (2)セクター化したピコ基地局に3D-BFを適用したヘテロジーニアスネットワークにパーソナルピコセル手法を追加実装し,特性評価を行う. (3)全二重無線通信における自己干渉補償技術を確立した後,全二重無線通信を適用したモバイルネットワークおよびヘテロジーニアスネットワークをシミュレータで実現する.さらに,パーソナルピコセル手法を追加実装し,その効果を検証する.
|