研究課題/領域番号 |
21K11879
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
和田 友孝 関西大学, システム理工学部, 教授 (20314560)
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研究分担者 |
橋本 尚久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (20415730)
藤本 まなと 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80758516)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高度交通システム / 歩車間通信 / 機械学習 / ライダー / レーザレーダ |
研究開始時の研究の概要 |
次世代高度交通システムを実現するために機械学習と通信技術を融合して車両と歩行者の安全かつ効果的なインタラクション(意思疎通)の実現を目指す。主に以下の3テーマについて研究を行う。 (1) 歩行者の挙動分析を行い、歩行者状態推定技術を確立する。(2) 車載レーザレーダに反応するリフレクタを用いて、交通環境において必要となる情報をスマートに取得する手法を確立する。(3) 交差点における車両と歩行者のインタラクションに着目し、機械学習および無線通信を融合させて安全かつ効果的な意思疎通の実現を目指す。 これらのアプローチは関連研究と比較しても独創的なものであり、実用化するとそのインパクトは大きい。
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研究実績の概要 |
本年度は以下の研究を行った。 (1)歩行者の挙動分析:歩行者の腰に無線多機能センサを取り付け、歩行者の「停止、歩行、走行」の動作状態を機械学習を用いて判定するシステムの精度について検証し、95%以上の精度が得られることを確認した。また、停止と歩行の間の動作に対応する、「ゆっくり歩行」についても判定ができるように改良を行った。その結果、充分な精度で判定できることを確かめた。さらに、歩行者の動作状態情報を車両へ無線通信により伝送することにより、車両の警告を早めに行うことができることを確認し、安全性向上に寄与できることを確かめた。 (2)リフレクタコードを用いた情報取得:電柱を想定した円柱の側面に3種類のリフレクタと非リフレクタを組み合わせたリフレクタコードを作成し、これを道路横に設置した。ライダーを搭載した車両がこのリフレクタコードの横を走行する際、各リフレクタからの反射強度を読み取り、その種類を区別して情報を取得する実験を行った。車両速度30km/hまでで64ビットの情報取得ができることを確認した。また、ライダーにより取得した点群データから自動的にリフレクタ箇所の抽出と認識を行う処理を検討した。その結果、各リフレクタごとに充分な点群データを取得できれば、自動認識できることを確かめた。 (3)交差点における安全かつ効果的な車両と歩行者のインタラクション:一般の交差点において、LPWAの1つであるWi-SUNを用いて車両と歩行者が情報交換する実験を行った。歩行者の行動推定情報を車両に伝送することにより、車両と歩行者が直接見えない環境でも車両は歩行者を認識することができ、早めの認知警告により安全性が高まることを確認した。また、4人の歩行者と車両が通信する実験を行い、車両と歩行者の相対速度および歩行者の動作状態を考慮して危険度が最も高い歩行者を特定することが効果的であることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
主な研究課題である、(1)歩行者の挙動分析、(2)リフレクタコードを用いた情報取得、(3)交差点における安全かつ効果的な車両のインタラクション、の3つの課題に対して、それぞれ順調に研究が進んでおり、これらを連携させて複数の歩行者に対しての衝突回避支援実験も行うことができているため、計画以上に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
現在4人の歩行者と車両を無線通信して衝突回避支援を行うことができているが、さらに多くの歩行者が存在する場合に対応できるようにするためには、最も危険度の高い歩行者に限定して警告を行うことが必要である。多数の歩行者が存在する環境において確実に危険度の高い歩行者を特定する技術の検討を行う。 また、歩行者の数秒先の行動予測を行い、車両へのより適切な警告を行えるシステムへの改善に取り組む。さらに、自動運転車両は安全側に配慮した設計になっているため、無線通信による歩行者情報をより効果的に利用する方法についても検討する予定である。
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