研究課題/領域番号 |
21K11887
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60070:情報セキュリティ関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
河内 亮周 三重大学, 工学研究科, 教授 (00397035)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 秘密計算プロトコル / 対話通信パターン / チェーンネットワーク / ツリーネットワーク / ネットワークトポロジー / 秘密同時通信 / 条件付き秘密開示 / 量子情報通信プロトコル / 分散ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
秘密計算プロトコルは,複数の参加者が各自持つ秘密情報を他の参加者に漏らすことなく,全員の秘密情報に基づいて有益な計算をネットワーク上で行うためのプロトコルである.既存研究のほとんどは各参加者が一対一で直接通信できる理想的なネットワークを想定している.どのようなネットワーク構造でも対応できる秘密計算プロトコルの研究がごく最近見られるようになったが,幅広い構造に対応するために通信・計算効率が犠牲になっている. 本研究では,無線通信などの現実的なネットワーク構造に着目することで,より効率的な秘密計算プロトコルを設計し,その安全性や効率性を解析する.
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研究実績の概要 |
2022年度の活動では,2021年度の研究調査によって明らかになったHaleviらの研究(ITCS 2016)による対話通信パターンを持つ秘密計算プロトコルという柔軟なネットワーク構造に対応可能な秘密計算のフレームワークに着目し,研究を進めた.対話通信パターンはネットワークにおける各ネットワーク参加者が送受信するメッセージの依存関係を有向グラフで表現することで,各ネットワーク参加者がどの参加者と通信が可能・不可能であるかを表現することができるモデルである.本年度の研究の結果,Haleviらのチェーン型の対話通信パターン,つまりネットワーク参加者が隣の参加者一人のみへメッセージを送信し,最後の参加者が関数の値を評価する直線グラフ構造のネットワークに対する秘密計算プロトコルで効率を改善した秘密計算プロトコルを構成し,その安全性を解析した.さらにその秘密計算プロトコルを拡張し,ツリー型の対話通信パターン,つまりネットワーク参加者に親子関係が定まっており,子が自分の親のみにメッセージを送信でき,根にあたる参加者が関数の値を評価する木構造のネットワークに対する秘密計算プロトコルの構成を行い,その安全性解析を行った.一般のトポロジ上のネットワークルーティングは通常そのトポロジを表現するグラフ上で全域木を構成し,その上で通信を行うことが多いため,木構造に対応する秘密計算プロトコルは高い汎用性を持つプロトコルと考えられる.また秘密計算プロトコルの基本構成要素となる乱択符号化の効率化について,基本的な代数構造である二元体上の演算について既存の効率を改善する構造を提案し,その理論的解析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度のネットワークトポロジを想定した秘密計算プロトコルの既存研究の調査に基づいてチェーン型ネットワークトポロジに対する効率的な秘密計算プロトコルの構成とその理論的解析を与え,さらにとその拡張であるツリー型ネットワークトポロジに対する秘密計算プロトコルの構成とその理論的解析を与えるという具体的な成果を得ており,想定していた程度の進捗を得ていると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
当初,チェーン型・ツリー型の対話通信パターンの秘密計算プロトコルは対称関数という自然な関数クラスについての構成として検討していたが,学会での発表後に問題点を指摘され,実際にはアーベルプログラムと呼ばれる少し弱い関数クラスに対するプロトコルにしかなっていないことが明らかになった.そのためより汎用的な関数クラスに対応できるプロトコルに改良していく必要があり,次年度はその改良を進める予定である.
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