研究課題/領域番号 |
21K11909
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60090:高性能計算関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
深谷 猛 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (30633846)
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研究分担者 |
相島 健助 法政大学, 情報科学部, 准教授 (40609658)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 線形計算アルゴリズム / 高性能計算 / 分散並列計算 / エッジコンピューティング / ビッグデータ処理 / QR分解 / 動的モード分解 / 線形計算 / 行列計算 / ビッグデータ解析 / 分散処理 |
研究開始時の研究の概要 |
Society 5.0では、現実空間から集積された膨大なデータをサイバー空間で解析し、解析結果を現実空間にフィードバックすることで、社会や産業に新たな価値がもたらされることが期待されている。本研究では、このプロセスで必要となるビッグデータ解析の基盤となり得る新しい線形計算アルゴリズムの研究開発を行う。解析対象となるデータと、用いられる計算基盤(例:エッジコンピューティング)の両者の特徴を踏まえた上で、高性能計算(HPC)と数理の双方の知見を生かして、効率的なアルゴリズムの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、Society 5.0におけるビッグデータ解析の基盤となり得る新しい線形計算アルゴリズムの研究開発を実施している。HPCと数理の両面から、エッジコンピューティング等に代表される計算環境を念頭におき線形計算アルゴリズムの研究開発を行うことで、Society 5.0におけるビッグデータ解析の効率化に貢献することを目指している。 2022年度は、前年度に実施した、縦長行列のQR分解アルゴリズムに関する分散並列環境上の性能評価を継続し、得られた性能データに対するより詳細な分析を行った。その結果、アーキテクチャの異なる各計算機システムにおける、特徴の異なる各アルゴリズムの性能特性を明らかにし、利用者のアルゴリズム選択に有益となる知見を得るとともに、今後のアルゴリズムの改良における課題を明確にすることができた。一方、エッジコンピューティング等の計算環境における各アルゴリズムの性能予測を念頭におき、上記の性能評価で取得した豊富な性能データを活用した性能モデルの構築にも着手した。 また、上記の性能評価で扱ったアルゴリズムの一つで、縦長行列に対して優れた特徴を有するコレスキーQR型アルゴリズムについて、行列が非縦長の場合にも対応できるようにアルゴリズムの拡張を行った。具体的には、ブロック化手法と組み合わせることで、非縦長行列に対しても有効に機能するアルゴリズムを構築した。2022年度では、シングルノード上で提案アルゴリズムが有効に動作することを確認するとともに、分散並列環境を想定したプログラムのプロトタイプ開発に着手した。 加えて、動的モード分解と呼ばれる手法に関する理論面の研究を行った。具体的には、計算対象のデータにノイズが含まれる場合を想定し、動的モード分解で得られる計算結果に対して統計的な観点から理論的解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定と多少の差異はあるが、具体的な研究開発を実施し、有用な結果を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
全体の目標としては、これまで実施した研究で得られた成果を踏まえて、よりSociety 5.0におけるビッグデータ解析を想定した研究開発を行う予定である。具体的には、エッジコンピューティング等を念頭においた計算環境でのアルゴリズムの有効性に関する検証に取り組むことを考えている。例えば、これまでの性能評価を通して収集した性能データを活用して性能モデルを構築することで、エッジコンピューティング等で想定される環境でのアルゴリズムの性能を仮想的に検証することが可能になると考える。また、より応用に近い設定(例:問題サイズ)における、各アルゴリズムの性能評価を実施することが重要であると考える。一方で、スパコン等を活用した関連アルゴリズムの研究開発やアルゴリズムの理論面の解析等についても継続して実施することで、計算科学を含めた幅広い点において貢献できる成果を創出することを目指す。
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