研究課題/領域番号 |
21K11919
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
上原 拓也 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50311741)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | フォーム構造 / 数理モデル / 形状安定化 / 計算機シミュレーション / フェーズフィールドモデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,フォーム(foam:泡)のセル構造とその時間変化を数理モデル化し,構造が変化する様子を計算機シミュレーションで再現する.まずはフォーム構造体を構成する個々のセル形状を数理的にモデル化し,安定な構造を求めた後,全体のフォーム構造を多数のセルの集合体としてモデル化する.さらに,その時系列変化を定式化することによって,フォーム構造の形成から安定化(または消滅)に至る過程を数理的に表現する.また,計算機シミュレーションを行うことで,実在のフォーム構造の変化を再現する.
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研究実績の概要 |
本研究では,フォーム構造にみられるセル構造を数理モデル化し,その時系列変化をシミュレートすることによって,構造安定化の過程を再現することを目的としている.当初の研究計画では,まず,実際のフォーム構造として,液体フォームの構造と形態変化の観察を行い,特徴を抽出してモデル化することとした.フォームの内部構造は細かなセルに分割されており,個々のセルは幾何学的には多面体構造と近似することができる.次に,これらの形態の安定性を評価するため,自由エネルギーの定式化を行い,セルを構成する面,辺,および頂点の数と特徴を元にした評価式を決定する.その後,フェーズフィールドモデルに準じた解析を行い,セル形態の安定化過程のシミュレーションを行うこととした.これまでの研究実績として,多面体構造のエネルギー評価を行い,定式化を行った.評価には,分子動力学モデルによる多面体型ナノ粒子の表面エネルギーの結果を参照し,幾何学的な特徴に基づいた評価式を決定した.また,これらのエネルギー評価式では,セルのサイズ依存性が現れることから,セルのサイズ変化とともに安定形状が変化する様子を再現した.一方,セルによる空間分割については,これに類似したき裂パターン形成の解析も参照しながら検討した.当初の計画では,実際のフォーム構造からのモデル化を計画していたが,その多様性や複雑性から,単純なモデル化の進捗が遅れたため,代表的な多面体構造モデルに基づく評価を優先して進めてきた.最終年度において,実構造との整合性について検討し,モデルの完成を目指すこととする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画では,実際のフォーム構造のモデル化から進めることとしていたが,多様なセル構造の複雑さから,単純なモデル化の進捗が遅れたため,代表的な多面体構造に基づくモデルをベースに研究を進めてきた.また,COVID-19の影響で,研究の進捗が遅れたこともあり,当初の計画では3年の研究期間を見込んでいたが,1年間の期間延長を申請し,最終年度において,実構造との整合性について検討することとした.そのため,進捗状況としては「遅れている」と言わざるを得ないが,残り1年での研究完了に向けて順調に進めている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに行ったセル構造の多面体モデルを,多数のセルから成るセルの集合体に適用し,実際のフォーム構造に近いモデルを作成する.また,フェーズフィールド解析を行うことによって,形態の時系列変化解析を行い,構造の安定化過程を再現する.ベースとなるフェーズフィールド解析プログラムは完成しており,多数のセルに対応した改良を行う.また,計算力学に関する国際会議に参加し,ここまでの研究成果を発表するとともに,情報収集を行い,モデルの完成を目指す予定である.最終的には,実際のセル構造との整合性について検討し,観察されるフォーム構造とその時間変化の様子との比較・検証を行うことで,本研究の完了とする.
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