研究課題/領域番号 |
21K11920
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
牛島 省 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (70324655)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 並列計算 / 数値流体力学 / 流体・固体連成計算 / 内部流動化 / マルチグリッド法 / 流体固体連成 / 固体間連成 / 礫層内部流動化 / 固液相変化 / 密度流 / 間隙流 / 粘弾性流体 / 固体力学 / 多相連成災害 |
研究開始時の研究の概要 |
津波・高潮・洪水に伴う土砂・漂流物輸送や,地震時に生ずる砂地盤の液状化などの自然災害は,現象の素過程に着目すると,固気液相が複雑に影響する多相連成現象である.この多相連成現象に対して,マクロな挙動に対する経験則ではなく,現象の力学的素過程を直接再現し,その具体的なメカニズムを解明するための計算力学手法を構築する.
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研究実績の概要 |
多相連成災害の素過程を解明する計算力学手法の構築するため,以下のような研究を進めた. (1) 鉛直上昇流による飽和粒子層の内部流動化に対する流体・固体連成計算 底面から局所的に流入する鉛直上昇水流(平均流速約0.77 m/s) により,粒子層で内部流動化が発生し,最終的に水流が粒子層を貫通して崩壊に至る過程を対象として,実験および粒子スケールの流体・固体連成計算を行った.実験では,2 種類の礫粒子(粒径約7 mm と4 mm)および粒径約7 mm のガラスビーズを用いて,高速ビデオで粒子の動きを撮影し,超小型間隙水圧計による計測を行った.一方,計算では個々の粒子を四面体要素で表現する粒子モデルを利用し,最小粒径粒子の計算では,粒子モデル数を21,936,流体計算セル数を117,504,000 として,粒子周辺の流体計算に十分な分解能を設定し,2,176 プロセスの並列処理により演算を高速化した.実験および計算結果を用いて,粒子層内に生ずる過剰間隙水圧の時間的・空間的分布を比較するとともに,計算結果を利用した粒子移動パターンを示し,一連の過程が進行する力学的な要因や,粒子形状および粒径による現象の相違について考察を加えた. (2) 密度流の数値解析における圧力計算の前処理法 C-HSMAC 法における圧力ポアソン方程式の求解に前処理付きBi-CGSTAB法を用い,その効果について考察した.その結果,前処理により計算時間が短縮されることが確認できた.特に,Multigrid 法を前処理として用いた場合に,C-HSMAC 法の反復回数が他の解法と比べて大幅に少なくなるケースが存在しており,この現象も計算時間の短縮につながっていると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績に書いように,(1) 飽和粒子層の内部流動化に対する実験を行い,その結果を流体・固体連成計算で再現できたこと,また,(2) 密度流の数値解析における圧力計算の前処理法を検討し,計算速度を高速化できなことなどの成果が得られたため,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果を発展させ,(1) 形状が変化する固体と流体の連成計算法,(2) 粒子スケールの流体・固体連成計算結果からマクロスケールの現象を予測する計算手法の開発,(3) 行列解法の前処理手法の3次元化と分散メモリ環境での並列計算法の開発,などを進めて,多相連成災害の素過程を解明する計算力学手法の構築する.
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