研究課題/領域番号 |
21K11947
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 立命館大学 (2023) 龍谷大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
橋口 哲志 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究教員(准教授) (70710581)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 温度感覚 / 錯覚 / 液体 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトは皮膚に接触した物体の温度から物質的特徴(材質,重さなど)を把握する.物体の温度を制御すれば物質的特徴を変えられるが,物体によっては温度を容易に変えられないものがある.例えば,水は温かく保温しようと大がかり装置が必要となり,冷やすにも氷などを用意する必要がある.これは温度提示をコンテンツに活用するための一課題となる. そこで我々は物体そのものの温度を制御するのではなく,温度感覚の曖昧性を利用して物体が接触する近隣部位への温度提示で錯覚させる方法を提案する.
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研究実績の概要 |
ヒトは皮膚に接触した物体の温度から物質的特徴(材質,重さなど)を把握する.物体の温度を制御すれば物質的特徴を変えられるが,物体によっては温度を容易に変えられない場合がある.例えば,水は温かく保温しようと大がかり装置が必要となり,冷やすにも氷などを用意する必要がある.これは温度提示をコンテンツに活用するための一課題となる. 温度提示を間接的に変更する研究はいくつか存在する.指の腹を提示部としてその周辺に小型の温度提示装置で温度提示することで,温度提示部の温度を変更できることが確認されている.しかし,本研究が対象とするような液体では,周辺を覆われるように接触し,液体自体の接触感が少ないため,どのように温度を感じるかがわからない.そこで,我々は足裏に温度提示した場合に足に接触している水温の温度知覚が変わることを現在確認している.この場合,足裏に交互に温覚刺激,冷覚刺激を提示すると,水の温度がすべて温覚を提示した場合よりも温かく感じるという結果が得られた.しかし,踵から温冷温冷(温:温覚刺激,冷:冷覚刺激)の順に提示した場合と冷温冷温と提示した場合では結果が異なり,冷温冷温はすべて温覚を提示した場合よりも冷たく感じる結果となった.このように温度の組み合わせによって温度感覚が異なることを示唆し,これら組み合わせをより詳細に分析する必要がある.また,この現象の分析を他の部位でも分析する.特に指先は物体の感触を把握する上で多く使用される部位であり,触れる物体でも温度を温冷覚刺激の組み合わることで多様な表現が可能となる. よって,本研究では足裏・指先といったよく物体に触れる部位を対象に,液体が周囲に接触している場合に温度錯覚によって温度がどのように変化するのかを分析する.これから分析結果から温度感覚の知覚メカニズムの一知見として分析していくとともに,温度錯覚を活用した提示方法を提案していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は指先以外の近傍2か所に装着型温度提示装置で温度刺激を提示して,指先で知覚する温度感覚への影響を分析した.この実験結果では,指先の温度を他の刺激の組み合わせにより,提示温度と逆の温度に知覚すること(温覚提示を冷たく,冷覚刺激を温かく)を確認した. 2022年度は,温度を提示するタイミングの違いでも同様の錯覚が起こり得るのかを追加で検証することにした.この実験結果では,指先の温度錯覚の生起回数は減少する傾向にあり,物体に触れるタイミングと温度提示の設計が必要であることが示唆させた. 2023年度は,液体の温度知覚に関する課題に取り組みを進める予定であったが,実験環境を整えることに時間を要した.そこで,液体のみでなく,蒸気などのパーティクル表現でも間接的な温度提示が可能であるかを確認することにした.特に蒸気は液体とは異なり温度感覚が想起しにくい場合がある.例えば,やかんから発した白い蒸気は見た目から熱いと判断できるが,ドライアイスから発した白い蒸気は冷たいと判断される.このように外的な要因によって温度感覚が異なる可能性があるため,パーティクル表現と噴出口となるバーチャル物体との間の色を操作することで温度感覚の変化を分析した.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,液体の温度知覚に関する課題に取り組みを進める予定であったが,実験環境を整えることに時間を要した.この実験環境の構築は現在も進めており,今後は実験を実施していく予定である.また,新たな課題である蒸気などのパーティクル表現に関しても,今後は系統的な実験からその効果を分析していく予定である.
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