研究課題/領域番号 |
21K11969
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
横山 真男 明星大学, 情報学部, 教授 (30633044)
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研究分担者 |
矢川 元基 東洋大学, 計算力学研究センター, 客員研究員 (40011100)
武居 周 宮崎大学, 工学部, 准教授 (40598348)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ヴァイオリン / 大規模並列計算 / 連成解析 / モード解析 / 音場解析 / 振動解析 / 音響解析 / 数値シミュレーション / 音響 / 有限要素法 / 振動 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、ストラディバリに代表されるようにイタリアのオールド楽器の解剖的な解析手法の見直しが迫られている。というのは、300年もの前に作られたヴァイオリンの文化財的価値が高まり、博物館で大切に保管されるようになったことが挙げられる。そのため、かつてのようにインパクトハンマで衝撃を与えたり解剖したりセンサーを接着したりする解析はほぼ不可能になり、楽器にダメージを与えない安全な解析方法(非侵襲的解析)で行わなければならなくなってきた。本研究は、マイクロCTスキャンと数値シミュレーションによる非侵襲な楽器の構造・音響解析手法の確立を行う。
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研究実績の概要 |
本研究ではストラディヴァリに代表されるようなオールド・ヴァイオリンの振動と周辺音場を数値シミュレーションで解析している.2022年度は、楽器全体の振動モード解析および周辺の空気領域の音場解析を大規模並列計算機で行ってきた.また、高精度なマイクロCTスキャナを用いて、ストラディヴァリとならび名器とされるグァルネリ・デル・ジェズのヴァイオリンをスキャンしCADデータ化し、有限要素法による構造シミュレーションに取り組んだ。音場の解析については、現在、並列計算ライブラリのAdventureSoundを用いて、楽器周辺音場の定常計算および時間変化に伴う音圧の放射の様子を計算し可視化できる非定常計算の基礎動作確認まで行えた。全体の計画においては概ね順調に進んでいる。 録音については、コンサートホールにてストラディヴァリや現代の製作者の楽器の音を収録し、ステージ上とホール客席での音色の比較を行った。 上記の成果について、国際学会で2件(15th World Congress on Computational Mechanics 日本、24th International Congress on Acoustics 韓国)で、また、国内では日本機械学会第35回計算力学講演会、日本学術会議公開シンポジウム「計算音響学の目指すもの」でそれぞれ講演を行った。CTスキャンの利用による振動の解析はこれまでも他の研究においても行われてきたが、マイクロCTスキャンという高精度な形状測定と大規模並列計算を用いたヴァイオリンの構造と音響を連成させた数値シミュレーションによる定量的・定性的解析は世界に類がなく、楽器研究の領域に大きくインパクトを与えていると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、楽器からの音の放射について録音とホール内の放射の特性の分析を行う予定であり、オールド楽器と新作楽器の比較検証を行った。無響室での計測も行う予定であったが、実施の面で困難な点が多いこと、人間の聴覚的な評価との矛盾などから、ホール内での録音・解析に修正した。 一方、数値シミュレーションについては2023年度に実施予定であった音場シミュレーションが、前倒しして基礎的な計算手法の確認が本年度にできた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度では数値シミュレーションに重点を置いて、振動と音場の連成解析を進めていく。特に、振動解析においても商用の並列計算ライブラリAdventure_Clusterを用いて、弦やパーツなどを含む楽器全体の数値シミュレーションを実施する予定である。これまで行ってきたヴァイオリンの本体だけでなく、弦の加振や張力を考慮したよりリアルな振動の再現が期待できる。それにより得られた楽器表面の加速度場を周辺の音場計算の入力とし、室内音場における放射の時間変化のシミュレーションを目指す。 研究成果については、米国音響学会のほかヨーロッパでの講演が決まっており、また国内の各学会で発表する予定である。
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