研究課題/領域番号 |
21K11979
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大本 義正 静岡大学, 情報学部, 准教授 (90511775)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ヒューマンエージェントインタラクション / インタラクションモデル / 内部状態推定 / マルチモーダルインターフェース / 会話エージェント / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,タスクの遂行状況や人間側の変化によってエージェントの行動と目的を動的に更新する循環的意図更新モデルと,Cycle-GANの枠組みを,相互他者モデル推定の基礎として,人間とエージェントとの相互他者モデル推定のフレームワークを検討する.エージェントはインタラクション相手となる人間と自分自身のモデルをそれぞれ持ち,それぞれのモデルから意図と行動のセットを生成(推測)して,他者と自分の,局所的な行動提示と,大域的な行動指針を,統合的に推測・決定・変更するフレームワークを開発する.インタラクション中に観察される行動指標だけではなく,人間の内部状態の変化を反映する生理指標を併用して評価する.
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研究実績の概要 |
本年度は、目的2「相互他者モデル推定フレームワークの開発とそれによる支援の検討」を進めるために、2021年度に作成した基礎エージェントを使用した実験を実施した。また、予備検討の段階において、インタラクション行動が、他者の行動モデルが柔軟に変化する事例があったため、目的1「協調課題における相互他者モデル推定を伴うインタラクションのモデル化」に関して、インタラクション行動が他者の行動モデルを変化させる要因を調べるための実験および分析を行った。
目的2については、昨年度に作成した基礎エージェントに、自発的な相互他者モデル推定をし続ける基本的な行動モデルを実装した。また、そのインタラクションを人間に観察させたところ、社会的存在感やエージェントに対する信頼感が発展的に向上することが確認された。一方、タスクドリブンではない状況においては、他者モデルを推定するための質問や推定した結果の行動提示が、人間のその後の行動に大きな影響を与えることが多かったため、相互他者モデル推定そのものがインタラクションによる行動モデルの双方向的構築に影響する可能性を検討した。 上述の検討の一環として、目的1に立ち返って実験および分析を実施した。これについては、情動二要因理論に基づくインタラクションによる情動誘導の実験、行動モデルを同調させることによる人間の行動モデルの変容を確認する実験、実時間で変化・発展する自動運転状況に置けるインタラクションによる行動変容の実験、等によって、単なる相互他者モデル推定にとどまらず、協調的かつ双方向的に他者モデルが発展していくインタラクションモデルの構築の手がかりを見つけた。特に、一部の実験結果からは、エージェントが推定しようとする他者モデルの粒度や構造の概要を、インタラクションを通じて暗黙的に人間に示した方が、他者モデル推定や協調行動が容易になるという示唆が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目より着手する予定であった、目的2「相互他者モデル推定フレームワークの開発とそれによる支援の検討」については、1年目に実施した基礎的な実装と基本行動モデルをベースに仮想空間上のエージェントとして実装を進めた。このエージェントによる予備的検討を実施したところ、当初の計画で想定していたよりも人間の持つ行動モデルが柔軟に変容することが見られたため、相互他者モデル推定に持続的な変化のモデルを組み込む必要性が高まった。目的1「協調課題における相互他者モデル推定を伴うインタラクションのモデル化」においては、昨年度の結果から、相互他者モデル推定フレームワークを実装するための具体的な場面についての検討を引き続き行う必要が生じていたため、このような他者モデルの推定のための行動が他者モデルに影響を与える状況について、複数の環境において実験と分析を行い、協調的かつ双方向的に他者モデルが発展していくインタラクションモデルの構築の手がかりを見つけた。 従って、全体としてみると、当初計画の想定から修正を加える必要が出てきたものの、それに関わる手がかりを実験的に得ることができたため、概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画から修正を行いながら、大枠においては計画の目標を達成するように収束させていく。具体的には以下のように推進する。 目的1「協調課題における相互他者モデル推定を伴うインタラクションのモデル化」においては、他者モデル推定の行動そのものが行動モデルを変容させることを組み込んだインタラクションモデルの構築を行い、比較的一般性のあるモデルケースにおいてエージェントに実装して、その効果を検討する。 目的2「相互他者モデル推定フレームワークの開発とそれによる支援の検討」においては、目的1で構築されたインタラクションモデルを実装し、自らの行動が将来の相手の行動モデルを変容させることを織り込んだ他者モデルの持続的変化を、相互他者モデル推定において実現するフレームワークの構築を行う。また、これを使用した実験を通して、人間の意思決定や創造性の支援を検討する。
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