研究課題/領域番号 |
21K11985
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
中村 壮亮 法政大学, 理工学部, 准教授 (20634695)
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研究分担者 |
大谷 拓也 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (70777987)
望月 典樹 法政大学, 理工学部, 助手 (70823756)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ヒューマンインタフェース / 知能ロボティクス / バーチャルリアリティ / 全身没入 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは,多様なバーチャル環境においてあらゆる運動を実行可能とし得る,汎用的な没入型VRシステムとして,身体を機械固定した状態における「① 運動意図の取得,② 運動のシミュレーション,③ 運動感覚の提示」の要素技術から構成される「Motion-Less VR」を提案している.本研究では,運動意図の正確な取得のための諸改良(姿勢に応じたトルク変換処理,筋電センサによる遅延の抑制・拮抗表現の導入)や各種パラメータの個人に合わせた校正(個人適合)を通して要素技術を深化させるとともに,バーチャル環境との物理的なインタラクションを通して実用化に向けた性能評価を進める.
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研究実績の概要 |
本研究は身体固定型の没入型VRインタフェースである「Motion-less VR」に関するものであり、大きく4つのSTEPを踏みながら研究を進める計画を立てている。その中で、STEP1・2が当該年度(研究全体の初年度)に着手予定のものであり、いずれも運動意図取得技術の改良に資するものである。これらについて取り組んだ結果を報告する。 STEP1:姿勢に応じたトルク変換による運動意図取得の精度向上 【1年目】 Motion-Less VRでは固定された実身体の関節角と運動しているバーチャル身体の関節角が異なるため、我々は、ユーザはバーチャル身体の関節角を自身の現在の姿勢と思い込んで筋発揮を行うとの仮説を立てている。そして、この仮説が正しければ、実身体で計測されたトルクをバーチャル身体へ本来入力しようとしたトルクへと変換することで運動性能が向上すると考えている。そこで、実際に肘関節を対象に変換有無での運動性能を比較したが、予想に反して大きな差異は見られなかった。しかしその後、検証用に作成した動力学シミュレータにて、肘関節の動きでは変換に値しない程度しかトルクが変わらないことが判明したため、本手法の有用性は肘では検証できないとの結論となった。 STEP2:筋電センサを用いた運動予測による運動意図取得の遅延抑制 【1~2年目】 トルクセンサ遅延や運動シミュレーションの処理遅延により、時間遅れ及びそれに伴う不要な筋発揮が生じていると考えられる。そこで、筋電センサを用いたバーチャル身体の運動予測により時間遅れの低減を図ることとした。本年度は、筋電センサのセットアップを行い、センサ遅延や処理遅延を実際に見積もるところまで進んだ。しかしその結果、現状のシステムでは動作不安定であり、遅延抑制の性能向上が誤差として埋もれてしまう段階にあることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに本年度予定していた2項目について研究を実施し、一定の成果が得られたため、概ね順調と考えている。 STEP1のトルク変換に関しては肘では不要(効果薄)という想定外の結果が得られたが、これは必ずしも思わしくない結果ではなく、複雑な処理が不要となる点でむしろ好意的なものとも捉えられる。また、肘以外では必要となる部位と姿勢の組み合わせが存在することは十分に考えられるため、手法自体も適用箇所などを継続調査する価値がある。 STEP2に関しては、一時凍結との結論となったが、これもシステムの他の(より影響の大きい)誤差要因をつぶしてからまた立ち帰る予定であり、計画倒れなどではない。むしろ、今後の計画がより明瞭になったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度(研究全体の初年度)の研究結果を受け、肘関節ではSTEP1の手法の有効性が見られないことが分かった。そこで、姿勢乖離による発揮トルク値への影響が大きくトルク変換が必要となる部位に対象を変え、次年度以降も手法自体の効果検証を継続する。 なお、肘について変換不要であること自体は都合の良い結果であるため、STEP2~4に関しては、肘を対象としてトルク変換を行わないものとして今後の研究を進めて行く。 また、当該年度の研究結果から、STEP2は一時凍結とし、先立って次年度はSTEP3の研究に取り組むこととなった。STEP3の内容は力学モデルのパラメータチューニングであり、そのための最適化手法などについて既に検討を開始している。STEP3が完了し次第、STEP2を再開する予定である。
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