研究課題
基盤研究(C)
本研究は,血圧測定情報や睡眠評価情報などをもとにしてハザードリスクの知識構造化を目的としている.診察室外血圧の測定が容易になったことに加え,知能情報学の見地に基づき,探索的データ解析手法を用い,推定4300万人の高血圧症の効率的な探索アルゴリズム構築と血圧昇降圧パターン識別具現化を目的とする.研究は,ⅰ)血圧の事前知識生成,ⅱ)血圧推移の知識生成,ⅲ)夜間高血圧の予測3つの実施項目から構成される.まず,予測プロトタイプシステムを構築する.プロトタイプシステムを用い解析を行い,解析結果を評価しチューニングを行うスパイラルアップ方式で研究を進める.
本研究の目的は,血圧昇降圧に対して効率的なクラスタリングアルゴリズムの開発である.令和四年度は,血圧の昇降圧知識生成を目途にして次の三つの管理点を設定して研究を行った.1)データ解析,2)関連研究文献・先行研究調査,3)研究成果投稿の三点である.1)まず,血圧測定データの解析を行った.解析データには,就寝前,就寝中,起床後の定時血圧計測,睡眠と起床の明確に識別された七日間の血圧測定データと睡眠自己評価のデータを統合したものを用いた.さらにそれぞれのデータ群に対して欠損値補完処理を行った.これらのデータをもとにして,候補アルゴリズムの選定を目的として基本統計量算出などの解析を行った.一部データを用いて血圧の昇降圧パターン生成の予備実験を行った.2)次に,昨年度より引き続き先行研究調査を実施した.a)循環器内科学分野とb)知能情報学分野を対象とした.a)循環器内科学分野では,自律神経に関する事項とこれまで大規模に実施されてきた循環器系疫学調査に注力した.b)知能情報学分野は,クラスタリングアルゴリズム候補とその適用事例を横断的に調査した.特に,弱学習分野での適用可能アルゴリズムを調べた.3)最後に,今年度の研究成果を投稿した.これまでに収集した測定データをもとに解析結果を報告した.論文の結果:朝の収縮期血圧125mmHg以上,脳血管疾患の既往,就寝前の投与は,薬物療法を受けている高血圧患者における夜間高血圧の有意な相関関係であり,このリスクの高い血圧状態の検出に役立つと考えられる.
3: やや遅れている
初期想定していた成果までは得られなかった.事前知識の生成に不可欠な循環器内科の知識獲得をコロナ渦の様々な制約で効率的に実施することができなかったため.
令和五年度は,就寝状態を正確に把握した環境下での血圧昇降圧推移同定とそのクラスタリングを設定目標とする.本年度の投稿論文からの知見をもとに血圧の昇降圧の知識生成を目途として血圧の昇降圧パターンに基づくクラスタリング処理を実施し,クラスタリングアルゴリズム構築を管理点として設定する.
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American Journal of Hypertension
巻: hpad014 号: 6 ページ: 287-296
10.1093/ajh/hpad014
The Journal of Dermatology
巻: 48 号: 10 ページ: 1602-1606
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