研究課題/領域番号 |
21K12002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 東京工芸大学 |
研究代表者 |
曽根 順治 東京工芸大学, 工学部, 教授 (50329215)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ヒューマンインターフェイス / メタバース / バーチ ルリアリティ / インタラクション / MEMS / 触覚 / 力覚 / バーチャルリアリティ / ヒューマンインタフェース / 超音波 |
研究開始時の研究の概要 |
ロボットによる医療、危険作業の作業感覚を遠隔で伝えるためには、高精度の触覚提示デバイスが必要となる。人の指腹部は、2点弁別長(別々の刺激であると識別できる最小の距離)が数mmと小さいために、機械要素を微細化可能なMEMS技術を活用する。しかし、MEMS技術は薄膜技術であるために、強度の観点から、そのままでは活用することが困難である。そこで、MEMS技術と実装技術の両面から検討し、超音波MEMSを活用した高精度触覚デバイスを作成し、仮想空間で形状や表面粗さ情報が提示する触覚提示計算システムも検討することにより、高精度触覚提示システムを開発する。このシステムは、力覚提示システムとの併用も検討する。
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研究実績の概要 |
装着型の触覚デバイスは、電気刺激や振動刺激が多く、人による感度の差異や詳細な触覚提示は難しい場合がある。また、MEMS技術は平面構造と薄膜技術であり人間の指や身体に密着し難いことや、簡単に破壊する問題がある。提案者は、平成27-28年度の挑戦的萌芽研究「MEMS技術を用いた高密度・高精度触覚デバイスの開発」において、圧電方式に注目して、樹脂製のインターフェイス部、触覚提示ピンとMEMSの高精度技術を活用し、指腹部が400μm程度変形が行える高密度触覚提示デバイスを設計し、一部の試作を実施した。また、作業支援などにおいて、力覚と触覚を同時に提示すると効果が大きいことが研究されており、融合が必要であった。 今回の試作においては 、PZTより圧電性能が 高いと産総研などから 報告されているPLZTの圧電膜成膜を行うために2020-2022年度で成膜条件を詰めてきた。2022年度の 後半から東北大での試作が 緊急事態宣言の緩和により、PZTより、少し性能の高いLaを0.7%付加した PLZT圧電膜が成膜できるようになり、MEMSデバイスの開発を進めている。 新しく採用したPLZT成膜剤の 粘度が高いため、2cm角の基板では 厚みが0.5μmを超えると外側に割れが生じるため、10cmウエハでの製作を実施した。開発デバイスは、超音波方式を触覚提示に採用し、基板内のPt配線とコネクタは、直接接合法を採用し、簡単に配線できるようにして開発を進めた。また、超音波アクチュエータの上に、インターフェイス層を設け、そこで、超音波を増幅する方法を検討した。また、インターフェイス層の内側には、Niのメッキ層を設けて、反射効率を上げることにより、増幅率を向上させた。また、皮膚接触部にシリコンゴム層を設けることにより、空力音響効果も活用できるように、機能向上を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PLZTを圧電膜として、超音波MEMSデバイスを開発し、MEMSデバイスの上に超音波を増幅するインターフェイス層を3Dプリンタで作成した。そのインターフェイス層をMEMSデバイスと結合する構成を採用した。そのインターフェイス層の内部には、超音波の増幅チューブを設けた。その内側には、Niメッキを実施することにより、超音波の増幅率を向上させることができた。これらは、マルティフジクスのコンピュータ解析により、設計と効果の確認を実施している。また、皮膚とインターフェイス層の間に、シリコンゴムを用いて、空力音響も活用して触覚を提示することができたことにより、39Vの低電圧で、触覚デバイスを駆動可能となった。被験者実験を実施して、十分な、触覚を得ることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
超音波デバイスのダイアフラムの厚みは55μmと厚く、薄くすると圧電膜の内部応力で破壊してしまっていた。そこで、ダイアフラムの厚みを薄くするために、圧電膜のエッチング領域を変更して、ダイアフラムの厚みを減らすことにより、低電圧駆動を実現する予定である。また、触覚生成だけでなく、触覚センサーとしてカンチレバー型のMEMSデバイスを完成させて、触覚の双方向通信が行えるように、検討を進める予定である。 さらに開発したデバイスを用いて 、振動だけでなく、エッジ形状や滑り感などの多種の触覚を提示する方法を検討していくことにより、開発デバイスの応用範囲を広げていく予定である。この開発により、本研究で開発したMEMSセンサーとMEMS触覚提示デバイスを協調動作させる技術を開発し、メタバース空間において、触覚の相互遠隔通信の実験を実施していく予定である。さらに、東京大学 川嶋教授開発の 医療ロボットに、活用してもらえるように検討を実施する予定である。
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