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AIによる人間の知覚支援システムの基礎開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K12006
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

渡辺 英治  基礎生物学研究所, 神経生理学研究室, 准教授 (30250252)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード深層学習 / 錯視 / 知覚 / 脳 / 人工知能 / 交通事故 / 運転 / 予測符号化 / AI / 視覚 / 知覚支援
研究開始時の研究の概要

私たちはAI技術を活用して人の視覚シミュレーターの開発を進めている。本AIでは、 人の視覚上のエラーである動く錯視も再現される。人が知覚を苦手とする状況を評価するこ とができることから、人の知覚ミスによる事故を減らすツールへの活用が期待されている。 そこで本研究では技術を実利用できるように、動く錯視以外にも、形、色、位置、サイズな どの錯視を再現できるように教師データの充実、アルゴリズムの最適化を行う。さらには、 同AIで音声データを学習させ、聴覚シミュレーターへの拡張も試みる。本研究では、AI 技術を人の知覚を支援するシステムの高度化に幅広く活用できるように発展させていく。

研究実績の概要

本研究プロジェクトでは、視覚のエラー現象が要因となっている事故を未然に防ぐため、視覚支援をおこなうAIモデルの基礎開発研究を進めている。人の視覚の特性をモデル化したAIを人の視覚のシミュレーターとして活用するため、エラー現象である視覚の錯覚現象を再現させるようにAIを学習させている。錯視としては、動きの錯視、色の錯視、形の錯視、位置の錯視を選定し、昨年度までに動きの錯視および色の錯視についての知見を得た。その一部の研究結果を査読付き論文として発表した。本年度は動きの錯視についての人を被験者にした詳細な解析を行い、その結果を査読付き論文として発表した。色の錯視については深耕研究を行い大きな進展をみた。
動きの錯視は要素研究をおこなった。動きの錯視は黄黒青白の順で色が並んでいると動きの知覚が生じるが、AIモデルでどのような要素が動きに必要かを推定させた。その結果、3つの色の組み合わせがひとつの動きの要素になっており、黄黒青白の4色の場合はふたつの動きが統合されて非常に強い錯視を生じさせていることが判明した。本仮説をヒトの心理実験で検証したところ、AIモデルの推定が正しいことが判明した。本研究は査読付き国際誌に報告した。色の錯視については、学習用の動画を制御することで色が現れる原因を特定することに成功した。またAIモデルを利用することで新しい色の錯視の作出にも成功した。新しい錯視は今までのベンハムのコマとは白黒を反転させたデザインで、現れる色の位置が逆転する。こちらのAIモデルからの仮説推定もヒトの心理実験で検証した。色の錯視の検証については、新たにリモート実験を導入し、従来数人、多くても十数人規模の実験しかできなかった心理テストを数百人規模に増大させることに成功した。本リモート心理実験によりAIモデルが導き出した錯視知覚がヒトにおいても同じ知覚がなされることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、主に動きの錯視と色の錯視についての検討を行った。当初の計画では、動きの錯視は10種であったが300種に拡大させ、さらに本年度は深堀をして動きの錯視の原因についての研究も行った。色の錯視も10種類検討する予定だったが、むしろAIモデルが自ら色の錯視を大量に創作したことから、予定を変更してこちらも深堀をする方向に研究を行い、その結果、錯覚上の色が生じる原因と特定することになった。
予定とは少し異なる方向性となったが、色の錯視を再現するAIモデルを得たことには違いなく、またその特性から人の視覚のメカニズムの一端を明らかにしたことは大いに意義があると考える。研究はおおむね順調に進展していると言えると思う。

今後の研究の推進方策

今後の研究の方策だが、当初の計画通りに進める予定である。動く錯視と色の錯視については、ほぼ研究は終了したが色の錯視についてはまだ論文報告をしていないので、それを最優先にさせたい。さらには、まだ手をつけていない形の錯視10種、位置の錯視10種を選定して、錯視が生じているかを判定していく。
形の錯視、位置の錯視についても予備実験の段階ではAIモデルは再現していることが分かっており、こちらもAIモデルが示した仮説を検証するために、人の心理実験を合わせて行う。人の心理実験は今年度開発したリモート心理実験のシステムを活用していく。いずれにしても2024年度が本研究プロジェクトの最終年度にあたるため、学会報告と論文の報告を欠かさずに進めていく。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (38件)

すべて 2023 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 1件、 招待講演 10件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 脳の視覚情報処理の深層ニューラルネットワークモデル2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺 英治
    • 雑誌名

      計測と制御

      巻: 62 号: 10 ページ: 616-623

    • DOI

      10.11499/sicejl.62.616

    • ISSN
      0453-4662, 1883-8170
    • 年月日
      2023-10-10
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Integration of motion information in illusory motion perceived in stationary patterns2023

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Taisuke、Watanabe Eiji
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 号: 1 ページ: 21107-21107

    • DOI

      10.1038/s41598-023-48265-4

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 視線計測と人の視覚を模倣する深層学習モデルによる運転者の予測特性の解析2023

    • 著者名/発表者名
      關 嵩覚、雨宮 瑞希、加藤 正隆、江村 恒一、渡辺 英治
    • 雑誌名

      自動車技術会論文集

      巻: 54 号: 3 ページ: 628-634

    • DOI

      10.11351/jsaeronbun.54.628

    • ISSN
      0287-8321, 1883-0811
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Evolutionary differentiation of androgen receptor is responsible for sexual characteristic development in a teleost fish2023

    • 著者名/発表者名
      Y. Ogino, S. Ansai, E. Watanabe, M. Yasugi, Y. Katayama, H. Sakamoto, K. Okamoto, K. Okubo, Y. Yamamoto, I. Hara, T. Yamazaki, A. Kato, Y. Kamei, K. Naruse, K. Ohta, H. Ogino, T. Sakamoto, S. Miyagawa, T. Sato, G. Yamada, M. Baker & T. Iguchi
    • 雑誌名

      Nature communications

      巻: 14 号: 1 ページ: 1428-1428

    • DOI

      10.1038/s41467-023-37026-6

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 運転における人の視覚を再現する深層学習モデル2022

    • 著者名/発表者名
      江村 恒一、加藤 正隆、渡辺 英治
    • 雑誌名

      自動車技術会論文集

      巻: 53 号: 6 ページ: 1102-1107

    • DOI

      10.11351/jsaeronbun.53.1102

    • ISSN
      0287-8321, 1883-0811
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 人の視覚をシミュレートする深層学習を用いた交通ヒヤリハット事象の要因分析2022

    • 著者名/発表者名
      加藤 正隆、江村 恒一、渡辺 英治
    • 雑誌名

      自動車技術会論文集

      巻: 53 号: 6 ページ: 1108-1113

    • DOI

      10.11351/jsaeronbun.53.1108

    • ISSN
      0287-8321, 1883-0811
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Origin of the ease of association of color names: Comparison between humans and AI2022

    • 著者名/発表者名
      Komatsu Hidehiko、Maeno Ami、Watanabe Eiji
    • 雑誌名

      i-Perception

      巻: 13 号: 5

    • DOI

      10.1177/20416695221131832

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Laterally biased diffusion of males of the water flea Daphnia magna2022

    • 著者名/発表者名
      Toyota Kenji、Yasugi Masaki、Tatarazako Norihisa、Iguchi Taisen、Watanabe Eiji
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Zoology Part A: Ecological and Integrative Physiology

      巻: 337 号: 6 ページ: 626-638

    • DOI

      10.1002/jez.2595

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Motion illusion-like patterns extracted from photo and art images using predictive deep neural networks2022

    • 著者名/発表者名
      Taisuke Kobayashi, Akiyoshi Kitaoka, Manabu Kosaka, Kenta Tanaka & Eiji Watanabe
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 3893 号: 1

    • DOI

      10.1038/s41598-022-07438-3

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ビデオ予測を行う深層学習ネットワークが再現する運動残効2023

    • 著者名/発表者名
      小林汰輔、渡辺英治
    • 学会等名
      日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 予測符号化を実装した深層ニューラルネットワークによるフェヒナー・ベンハム主観色の再現2023

    • 著者名/発表者名
      上田恭平、Lana Sinapayen、小林汰輔、渡辺英治
    • 学会等名
      日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 予測符号化DNNの学習における画像ブレの影響に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      加藤 京介,、小林 汰輔、渡辺 英治、栗木 一郎
    • 学会等名
      神経回路学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ビデオ予測を行う深層学習ネットワークが再現する運動残効2023

    • 著者名/発表者名
      小林汰輔、渡辺英治
    • 学会等名
      神経回路学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 蛇の回転錯視への白内障の影響2023

    • 著者名/発表者名
      上田恭平, 藤田京子, 鈴木栄二, 小林汰輔, 渡辺英治
    • 学会等名
      視覚学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Reproduction of subjective color using deep neural network2023

    • 著者名/発表者名
      上田恭平、Lana Sinapayen、小林汰輔、渡辺英治
    • 学会等名
      神経回路学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Deep Echo State Networkにおけるリークレートの最適化による機能増強2023

    • 著者名/発表者名
      井上秀一、信川 創、西村治彦、渡辺英治、礒川悌次郎
    • 学会等名
      電子情報通信学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ヒトの視覚を模倣する深層ニューラルネットワーク2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺英治
    • 学会等名
      統計数理研究所共同利用研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 残差信号による錯視効果時間の伸長2023

    • 著者名/発表者名
      小林汰輔、渡辺英治
    • 学会等名
      日本視覚学会2023年冬季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] AIによる錯視現象の探求2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺英治
    • 学会等名
      認知科学研究センタ研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 深層ニューラルネットワークによる錯視現象の探求2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺英治
    • 学会等名
      生理研研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 視線計測と人の視覚を模倣する深層学習モデルによる運転者の予測特性の解析2022

    • 著者名/発表者名
      關 嵩覚、雨宮 瑞希、加藤 正隆、江村 恒一、渡辺 英治
    • 学会等名
      自動車技術会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 回転サンプリングされた主観的超解像表示に対する PredNetによる見えの推定2022

    • 著者名/発表者名
      嶋村海人、八杉公基、時本豊太郎、渡辺英治、陶山史朗、山本裕紹
    • 学会等名
      日本光学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 深層学習による"動く錯視"の再現と合成2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺英治
    • 学会等名
      AI Optics研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 画像ブレによる予測符号化DNNの学習高速化の検討2022

    • 著者名/発表者名
      斉藤 輝、篠崎隆志、渡辺英治、栗木一郎
    • 学会等名
      視覚学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 予測符号化を基本原理としたANNが再現する視覚現象とその研究展開2022

    • 著者名/発表者名
      小林汰輔、渡辺英治
    • 学会等名
      視覚学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 運動錯視への色と空間情報の効果2022

    • 著者名/発表者名
      小林汰輔、渡辺英治
    • 学会等名
      神経科学学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 深層ニューラルネットワークによる錯覚現象の研究2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺英治
    • 学会等名
      音響学会講演会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Evolutionary generation of visual motion illusions2022

    • 著者名/発表者名
      Lana Sinapayen, Eiji Watanabe
    • 学会等名
      AROB-ISBC-SWARM 2022
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 人工知能における錯視2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺英治
    • 学会等名
      日本神経回路学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 深層学習が拓く視覚メカニズムの可視化2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺英治
    • 学会等名
      コンピューテーショナル・インテリジェンス・フォーラム 2021
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒト型知覚AIが心理学に出会う2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺英治
    • 学会等名
      シンギュラリティサロン
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 人工知能を通して見た錯視2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺英治
    • 学会等名
      日本人工知能学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 運転における人の視覚を再現する深層学習モデル2021

    • 著者名/発表者名
      江村恒一, 加藤正隆, 渡辺英治
    • 学会等名
      自動車技術会春季大会学術講演会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 人の視覚をシミュレートする深層学習を用いた交通ヒヤリハット事象の要因分析2021

    • 著者名/発表者名
      加藤正隆, 江村恒一, 渡辺英治
    • 学会等名
      自動車技術会春季大会学術講演会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 深層学習による錯視研究の現状2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺英治
    • 学会等名
      日本基礎心理学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Computational and psychophysical estimation of fundamental principles underlying the rotating snake illusion2021

    • 著者名/発表者名
      Taisuke Kobayashi, Eiji Watanabe
    • 学会等名
      日本神経科学
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [備考] 色名の連想しやすさの起源:人間とAIの比較

    • URL

      https://www.nibb.ac.jp/press/2022/10/28.html

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 深層ニューラルネットワークによって「動く錯視デザイン」の人工合成に成功

    • URL

      https://www.nibb.ac.jp/press/2022/03/10.html

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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