研究課題/領域番号 |
21K12018
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
大崎 美穂 同志社大学, 理工学部, 教授 (30313927)
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研究分担者 |
大西 圭 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (30419618)
片桐 滋 同志社大学, 理工学部, 教授 (40396114)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 知識発見 / 非線形従属関係 / 共非線形性尺度 / 正則化 / ニューラルネットワーク / グループラッソ / 変数間の従属関係 / 共非線形性 |
研究開始時の研究の概要 |
変数間の従属関係の解明は科学や工学に広く求められるが,多種多様な変数を含む現象から未知の知識の種となる従属関係に気づくことは難しい.データ駆動の汎用的な分析手法を適用し,従属関係を検出・発見するアプローチが必要である.これを実現するため,本研究では機械学習に再現性と解釈性を確保する仕組みを加え,高い表現能力で多変数間の非線形な従属関係(共非線形性)を分析する手法を目指す.ニューラルネットワーク回帰(NNR),グループラッソ(GL),情報統合(IA)を融合し,共非線形性の尺度NNR-GLと共非線形変数集合・代表の発見手法NNR-GLIAを開発して医療分野に応用する.
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研究実績の概要 |
変数間の複雑な従属関係(共非線形性と呼ぶ)を知ることは,現象の理解と解明に迫る第一歩として重要である.特に多種多様なデータを分析する場合,データを根拠として未知の従属関係を発見する技術が望まれる.この実現を目指して,本研究では変数同士の共非線形性を検出する尺度と,本尺度を用いて非線形従属関係にある変数の集合・代表を発見する手法を開発している.昨年度には新しい共非線形性尺度NNR-GLを提案し,最終的に国際会議と学術論文で発表するに至った.NNR-GLは,ニューラルネットワーク回帰(NNR)により変数間の非線形従属関係をモデル化するとともに,入力層のグループラッソ(GL)により強い従属関係のみを選定し,その強さを尺度値として出力する.共非線形性を検出できるが,検出結果である多数の断片的な従属関係を集約する機能がない.
以上を踏まえて,本年度は次の段階,すなわち,NNR-GLの検出結果を集約して共非線形変数集合・代表を発見する手法NNR-GLIAに着手した.年度前半には,異なる初期設定のNNR-GLを繰り返し実行した上で,検出された従属関係にある変数の出現頻度に応じて変数集合を構築する機能IAを考案した.変数集合の代表(従属関係の源流に位置する変数)を導出する仕組みも加えた.そして,NNR-GLとIAの組合せである提案手法NNR-GLIAの定式化・アルゴリズム化と,システム設計・開発を行った.年度後半には,試作システムの動作確認とデバッグとともに,モデル化した従属関係を明示的な関数で表現する方法を検討した.さらにNNR-GLIAを進化的最適化に応用するために,対話型進化計算におけるユーザの志向と最適化対象の変数の間の従属関係も調べた.この調査はNNR-GLIAの開発と平行して行い,成果を国際会議で発表した.次年度にはNNR-GLIAの詳細な評価と応用へと進みたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度(2021年度)にNNR-GLの実装から評価までを終えたため,本年度(2022年度)は順調な開始となった.具体的には,NNR-GLが検出した非線形従属関係の集約機能IA,および,NNR-GLとIAを組み合わせた共非線形変数集合・代表発見手法NNR-GLIAの開発を推進できた.計算量の観点から,NNR-GLIA内でNNR-GL実行を並列化する改良の余地は残ったが,基本的な機能の実装は完了した.次年度(2023年度)には,NNR-GLIAの本格的な評価実験を開始するが,これに必要な評価用データのうち,一部は昨年度に整備したものを再利用可能である.本年度は新たな評価用データの選定に取り組み,次年度への橋渡しができたと言える.また,研究協力者との連携が進み,進化的最適化において変数間の従属関係を発見・活用する方向にも進展があった.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度から2022年度にかけてNNR-GLの完成と成果公表を終え,NNR-GLを発展させたNNR-GLIAのシステム開発も一区切りついた.最終の2023年度にはNNR-GLIAのデバッグと動作確認を行った上で,次の3段階の評価実験を行う計画である.原理的有効性の検証:正解の共非線形変数集合・代表を人工的に仮定したデータを合成し,NNR-GLIAがこの人工データから正解を発見する性能を調べる.実用的有効性の検証:ドメイン知識から正解が明らかなベンチマークの実データにNNR-GLIAを適用して,現実のデータから正解を発見する可能性を調べる.実用的有用性の検証:変数の非線形従属関係が未解明の分野にNNR-GLIAを応用して,その分野に有益な共非線形変数集合・代表を発見できるのかを調べる.様々な種類のデータと条件で実験を行うので,評価実験補助の人員を確保して,役割分担と並列化により計画を推進していく.
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