研究課題/領域番号 |
21K12035
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
高橋 寛 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (40767513)
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研究分担者 |
岡崎 光洋 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任研究員 (80297944)
波多江 崇 中国学園大学, 公私立大学の部局等, 教授(移行) (30331028)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ポリファーマシー / 腎機能 / レセプトデータ / 後期高齢者 / 処方提案 / 調剤報酬明細書 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、岩手県の後期高齢者医療広域連合の被保険者を対象に、10剤以上薬剤服用者の調剤報酬明細書(以後レセプト)を匿名化した処方データをもとに、減薬になった薬剤の特定、薬局数や医療機関数との関連性、スクリーニングツールで該当する薬剤の種類と数などを調査し、受診勧奨もしくは窓口相談対象者選定のための効率的な抽出アルゴリズムの構築を検討する。 また、薬局薬剤師を対象にスクリーニングツールの使い方や処方提案の研修を行う。また、処方提案に必要なエビデンス情報を収集し、実際に医師にどのように処方提案を行うか事例の検討を行う。実際に薬局での相談事例の収集を行い、研修プログラムの効果を検証する。
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研究実績の概要 |
1. 岩手県後期高齢者医療広域連合被保険者の電子レセプトを用い、令和4年1月から3月で複数医療機関から9剤以上の処方が有り薬効が重複している3566人を対象に、薬効別に重複の数と薬剤師の介入が必要割合を調査した。結果、上位5つは、232:消化性潰瘍用剤、114:解熱鎮痛消炎剤、339:その他の血液・体液用剤、399:他に分類されない代謝性医薬品、520:漢方製剤であったが、不適切な処方は112:催眠鎮静剤・抗不安剤に多く、特に成分名が同一、作用型が同じとする事例が多かった。また、232:消化性潰瘍用剤に関しては、重複数の割に薬剤師が介入できる事例は少なかったが、PPIとH2RBの重複例などがあった。 2.令和5年度は、岩手県後期高齢者医療広域連合被保険者の電子レセプトを用い、従来とは抽出条件を変更して対象者の抽出を行った。複数の医療機関を受診し、14日以上、6剤以上の処方で、併用禁忌、同一成分・同種同効薬がある患者、もしくは17剤以上の処方で、検査値・傷病名に注意が必要な薬剤、長期服薬により副作用が起こりやすい薬剤が処方されている患者のいずれかに該当した場合を対象者として、服用薬剤リストと該当する項目について合計1965名へ郵送を行った。そのリストを323人が薬局へ持参した。昨年までは、約2000人へ郵送し、約30人程度しか薬局へ持参しなかったが、今年度は約10倍の増加に繋がった。また、薬局へのアンケートの結果、処方の見直しを希望する群の約3割で減薬することに繋がった。服用薬剤リストを郵送するだけでは減薬には繋がりにくく、薬局で薬剤師が適正な指導を行うことが減薬に繋がることが明らかになった。この結果は、第34回日本医療薬学会年会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
岩手県後期高齢者医療広域連合からの委託業者が変更になり、仕様の打ち合わせ等で対象者抽出の条件が変更になり、そのために進捗が遅れたり、対象者への郵送が遅れたりしている。しかしながら、データの回収率の向上や解析の精度は向上傾向にあり、訪問事業も事例数を確保できた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は岩手県後期高齢者医療広域連合、及び岩手県薬剤師会と連携を取り、事業そのものを早めに実施する予定である。また、郵送数は昨年度同様に2000名程度にするが、他県での実施状況を含め、対象者抽出の条件も再検討を行い、データの回収率向上を目指す。また、薬局薬剤師に対しては、薬剤師の介入が減薬に繋がっているという昨年度の実施状況を報告することで、減薬を希望しない患者への介入の方策をWebセミナー等で広め、回収率向上と減薬への取り組みを行う。
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