研究課題/領域番号 |
21K12037
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
渡辺 祐子 東京電機大学, システムデザイン工学部, 講師 (20287444)
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研究分担者 |
平林 ルミ 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (30726203)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 聴覚情報処理障害 / バイノーラル収音技術 / 雑音の到来方向情報 / スクリーニングシステム / マイクアレイシステム / 補聴援助システム / バイノーラル技術 / 聞き取り困難判定 / バイノーラル信号処理 / 音声聴取評価 / 指向性制御 / APD |
研究開始時の研究の概要 |
“聞き取り困難児童”とは正常な聴力を有するが、授業等において主に教師の音声指示等が聞き取れない、内容が理解出来ない等の問題を抱える児童を指す。これが潜在的原因となった結果、学習の遅れ、不登校になる場合も存在することから対象児童を簡易にスクリーニングし、困難症状を理解し、聞き取り環境改善を補助する仕組みにつなげる取り組みが必要である。現状では、APD(聴覚情報処理障害)を対象としたステレオ再生による聴取テストが存在するが、本研究ではバイノーラル技術を用い、聴取環境の音の空間性に着目した評価・支援システムの開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
APD(聴覚情報処理障害)は、雑音下等の環境で言葉の聞き取りに困難を生じることが多い。現在、国内外でこの症状をスクリーニングする評価システムがいくつか提案されているが、テストに当たって雑音は試験装置(主にヘッドホン)の片耳側のみに提示されることが多く、現実の音環境で雑音があちこち、色々な方向から到来するという環境を模擬できていない。APDは特に音が多方向から到来するときに聞き取る対象音だけを選択的に聴取する「カクテルパーティー効果」が効かない、選択できないことに起因すると考えられていることから雑音に音の到来方向の空間情報を付加することが必要と考えている。 そこで、バイノーラル収録方法を用いて、食堂やカフェ、グループワークなどが行われている教室などの環境騒音を収録し、それを用い、音声と雑音のSN比0dB条件での聞き取り実験を実施した。従来の評価システムでは、このSN比がスクリーニングの閾値パラメータとされており、たくさんのSN比の条件を実験する必要がある。被験者は障害の有無等で選別せず、大学に通っている20代学生30名とした。その結果、雑音に空間性を付加した条件での音声聴取において、1)雑音=背景音が空間に分布することによって、対象音をより選択しやすい→対象音の言葉が聞き取りやすいグループと、2)聞き取りが困難になるグループに分かれることが確認できた。これにより、SN比を変化させなくても、雑音の空間性の条件を変えるだけで、APDのスクリーニングができる可能性が示唆された。 一方で、複数の音源が存在する音環境から、ターゲットの音声(言葉)だけを抽出し、それをダイレクトにAPDを有する聴取者に提示することで聞き取りを支援するマイクアレイシステムの開発を進めており、2022年度はこの基本構成とマイクアレイシステムのプロトタイピングを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
雑音に音の到来方向の空間情報を付加した音源作成と聴取実験を実施し、研究テーマの仮説の妥当性を実証することができた。また支援装置開発もシステムのハードウェア的な構成は完成した。 2023年度は1)具体的にどのような雑音が試験に適しているかの検証と、2)マイクアレイ支援システムの実装を進める予定である
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は1)スクリーニングシステムにおいて、具体的にどのような雑音が試験に適しているか、音源の種類、音源の方向などをパラメータとした検証と、2)マイクアレイ支援システムの実装を進める予定である。 また研究成果を8月に開催される国際学会に2編、発表予定である。
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