研究課題/領域番号 |
21K12046
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
村山 立人 公立小松大学, 生産システム科学部, 教授 (80360650)
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研究分担者 |
斉藤 朝輝 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (60344040)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | スピングラス / レート・歪み理論 / 多端子情報理論 / 情報理論 / 統計物理学 / 大偏差理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、スピングラスと呼ばれる磁性体の平衡状態が、情報の圧縮過程を定義する方程式系の解として記述できる事実に注目する。そして、このような過程が破ることができない情報理論の普遍的法則に基づいた議論を展開し、数値的に再現するのが難しいスピングラスの協同現象を数式を用いて評価するための解析技術を完成させる。このシナリオは、統計物理学の解析技術を情報理論の諸分野で利用してきた最近の研究動向を、方法論の次元で逆転させたものとしても興味深い。本研究によって、情報理論の普遍的法則を物質科学の研究で利用するための処方箋が確立し、統計物理学の方法と相補的な多体系の解析技術が完成することが期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究では、スピングラスと呼ばれる磁性体の平衡状態が、情報の圧縮過程を定義する方程式系の解として記述できる事実に注目している。そして、このような過程が破ることができない情報理論の普遍的法則に基づいた議論を展開し、数値的に再現するのが難しいスピングラスの協同現象を数式を用いて評価するための解析技術を完成させることを目的にしている。
補助事業の3年目となる2023年度は、2020年に米国物理学会(APS)の学術誌より出版した論文の内容を主に報告した日本物理学会2022年秋季大会(東京工業大学)及び第25回情報論的学習理論ワークショップ(つくば国際会議場)での議論を踏まえて、特に論文で提示した数式に含まれるパラメータの妥当性や熱力学的平衡状態を再現できているかの確認など、正式な出版物としてはまだ発表していない事項等について分析を進めた。具体的には、最初の論文で用いた通信路モデルを拡張してスピングラスの分析を進めることを、新しい課題として検討している。このような拡張でスピングラスの物性解析としての性能が向上するかどうかは不明だが、情報理論との理論的な整合性を検証するという意味では議論の有効性が期待できると考えている。
現在、相図における多重臨界点の位置の特定に役立ちそうな新しい通信路モデルについて、研究分担者とその内容を協議している。本研究では、歪みありデータ圧縮の数学的シナリオであるレート・歪み理論の主要定理を援用しているが、これに加えて、歪みなしデータ圧縮の数学的シナリオやネットワーク環境を想定した多端子情報理論などの成果が利用できないかを数学的立場で検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で説明した新しい通信路モデルに関連した計算をしており、研究分担者との継続的な協議をする必要があると判断したので、次年度まで研究期間を延長している。特に、一部の計算結果において、数学的な意味での厳密性があるかどうかを時間をかけて検証している。また、現時点でのアイデアだけで論文化を見込める状況になってきたことも、この研究計画を延長した理由である。
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今後の研究の推進方策 |
情報理論が適用できる新しい通信路モデルの定式化はほとんど終わっており、今後は、これに関連した解析的な計算とシミュレーションなどを実施していく予定である。ただし、段取りの詳細については、次年度の研究代表者と研究分担者のエフォート管理をしながら決定していく。さらに、最終的な成果のとりまとめに向けて、最近の研究動向などについても追加で調査を実施していく。
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