研究課題/領域番号 |
21K12047
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
岡部 拓也 静岡大学, 工学部, 准教授 (10324336)
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研究分担者 |
吉村 仁 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員教授 (10291957)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 長期持続性 / 長期最適化 / 確率過程 / 対数正規分布 / 最適化問題 / 増殖的成長 / 進化ゲーム |
研究開始時の研究の概要 |
生物進化や経済活動では個体数や資産の経時的変化が重要となる.活動主体による選択肢(自由度) が変化を大きく左右しうる一方で,制御できない多数の要因によって,変化の大きな部分が確率的過程に支配される.前者の自由度の最適化を考えるとき,短期的にみた場合の最適化と長期的にみた場合の最適化の結果は一般に一致しない.短期的最適化と長期的最適化の間に齟齬が生じるケースで両者の理論の適用限界を明らかにすることは,概念的に重要な分野横断的問題であり,これまで研究がなされてこなかった.本研究はこの問題に先鞭をつける.
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研究実績の概要 |
株価や生態系・生物個体数の成長率は,周囲の環境条件の予測不可能な変化に応じて,ランダムに変動する.このようにランダムな要素が積算的にはたらくプロセスの長期的趨勢を数理的に論じるには,多数の集団の統計的振る舞いに着目する必要があるが,時々刻々と変動する数値にそれ以下にはなれない下限(0)が存在することにより,確率分布は時間経過とともに,指数関数的に上方へと無限に拡散していく形となる.結果として,一般的に,平均的なふるまいと典型的なふるまいの間に齟齬(矛盾)が生じることになる.すなわち,平均的には無限に成長を続けることになるものの,典型的にはほぼ確実に絶滅・破産に帰結するような矛盾的状況が例外的ではなくなる.長期的存続性の指標として,これまで幾何平均成長率(対数成長率の期待値)が用いられてきたが,当該年度の成果としてこれに代わる改良された指標を理論的に示した.すなわち,対数成長率の分散も重要となることを新たに提示することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文出版に関連した前年度の懸案事項は肯定的に解消された.これにより課題の進捗状況は当初予定どおりに回復した.進捗状況には影響はなかったものの,論文出版経費を想定して最終年度予算を多めに設定していたところ,当年度中に一部トップオープン誌へ成果発表できたことでAPC出費が相対的に想定外となった.
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今後の研究の推進方策 |
数理的成果を確証する目的で数値的解析をすすめている.このほか長期的持続性・絶滅確率の最適化と関連した生物系への応用問題について成果を公表できるよう進めていきたい.
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