研究課題/領域番号 |
21K12051
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
谷口 唯成 東海大学, 理系教育センター, 教授 (70392032)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 区分モデル / システム同定 / 非線形システム / 区分的システム / 離散時間システム |
研究開始時の研究の概要 |
制御対象の物理的動特性ではなく、入出力データを用いたモデリング手法であるシステム同定は、モデル化精度と制御系の数学的解析の両立は困難である。本研究は矩形の非線形モデルをタイル状につなぎ合わせた構造を有する区分的非線形モデルを用いることで、モデル化精度を任意に調整可能でかつ、制御系の数学的解析を実現するシステム同定手法の開発を行う。具体的には1)区分的非線形モデルを構築するための入出力データの分類と領域分割手法の開発、2)効果的な区分モデルの構築方法の開発、さらに研究成果を社会に還元することを念頭に3)実システムを用いたモデリング手法の最適化と実システムへの制御系設計の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、制御対象の動特性が未知の非線形システムに対し、入出力データのみで区分モデルを構築するシステム同定手法の開発を行っている。申請者らが開発した区分モデルは、非線形性を有し、2次元システムではタイル状、多次元システムでは超立方体のモデルのサイズと個数を変更することでモデル化精度を可視的に調整可能で、連続時間事象、離散時間事象においても安定解析、制御系設計手法を実現している。 令和4年度では多次元の非線形システムに対し、区分モデルの個数を固定した状態で区分モデルの端点を決定するモデリングアルゴリズムを提案した。例として3次元の山の模型を区分モデルで構築することを考える。本手法では、底面を矩形の領域で分割した複数の3次元の区分モデルを組み合わせて山の模型を完成することに相当する。3次元の区分モデルを構成するための変数としては、モデルの底面である矩形領域のサイズと分割位置、山の標高に相当する区分モデルの高さの値が該当する。ただしこれらの変数を決定する条件は非線形計画問題となり、最適解を導出することは困難である。 本手法では、分割された区分モデルの矩形領域のサイズと位置を得るために、スプライン関数の最適化手法を応用したアルゴリズムを提案した。また本研究で用いる区分モデルがif-thenルールの後件部がシングルトンのファジィルールで等価に表現できることを利用して、簡略化されたファジィ推論モデルに基づく学習アルゴリズムにより区分モデルの高さの値に該当する端点値を決定した。さらに両者のアルゴリズムを組み合わせることで、準最適解ではあるが遂次的に区分モデルの端点を決定するモデリングアルゴリズムを実現した。またモデリングアルゴリズムによる区分モデルに対して、モデル化誤差と構築したモデルに基づく制御性能の点からモデル化性能の評価を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は制御対象の入出力データから区分モデル化を実現するシステム同定手法の開発を行うことである.本年度の研究は研究計画の2)モデルの構築方法の開発の区分モデル構築と、3)モデル分割数、区分モデルの領域分割点の最適化のうち、区分モデルの領域分割点の最適化に該当し、おおむね研究計画は順調に進展していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度では、区分モデルの端点値を決定する遂次的なアルゴリズムを提案した。本年度は区分モデルの端点値を導出する非線形計画問題の解法と、区分モデルの領域分割数を最適化する研究を実施する。 計算機の能力が向上してきた現在でなお非線形計画問題の解法は困難である。本研究の区分モデルの端点値を導出する非線形計画問題の解法も容易ではないが、この非線形計画問題の特性を考慮し、数値解析ソフトウェアであるMATLABの関数の利用、Pythonによるプログラミング、進化的計算やニューラルネットワークに基づく機械学習の手法などの適用を行う。 区分モデルの総数が多いほど、モデル化誤差は少なくなるが、安定解析や制御系設計が困難になる傾向があるため区分モデルの総数は少ない方が望ましい。区分モデルの領域分割数の最適化を目指す研究として、K-means法、多次元尺度構成法、ベイジアン法等を行い、入出力データのクラスタリングから区分モデル数を決定し、区分モデルの端点値の決定問題と統合したモデリング手法の開発を行う。
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