研究課題/領域番号 |
21K12088
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61060:感性情報学関連
|
研究機関 | 流通経済大学 |
研究代表者 |
小川 健一朗 流通経済大学, 流通情報学部, 准教授 (90612656)
|
研究分担者 |
三宅 美博 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (20219752)
天野 俊一 流通経済大学, 流通情報学部, 助教 (60879724)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 社会ネットワーク / 優先的選択規則 / 心理的効用 |
研究開始時の研究の概要 |
ネットワーク研究によれば、SNSなどの社会ネットワークではフォロア数の多い人物ほど他者がアクセスする傾向にあり、そのような社会ネットワークは参加者のフォロア数の分布がスケールフリー性を有するとされる。 しかし近年、スケールフリーな社会ネットワークは実際にはそれほど多くないことが指摘されている。そもそも人間関係の選好は単純に繋がりの数に基づくものではなく、繋がることによる「効用(費用と便益)」が重要であると考えられる。 そこで本研究では、人々の心理的効用に基づく社会ネットワークの時間発展モデルを新たに構築し、数理解析することで、心理的効用がネットワークの構造形成に及ぼす影響について明らかにする。
|
研究実績の概要 |
昨年度、本研究の数理モデルを解析したところ、間接効用に基づく優先的選択は隣接するノード同士に相互成長をもたらし、ハブとその周辺に存在するノードとの間で選択確率を高め合う相乗効果が生じることで、局所的にリンクが集中する領域が形成されることが分かった。さらに、任意のノードにおける二次の次数は一次の次数に対して1.5のスケーリング指数で成長することも分かった。そして、実際の社会ネットワークを幾つか分析したところ、Facebookなどの社会ネットワークにおいてこのスケーリング指数が1.5となることが確認された。 そこで本年度は、その他の実社会ネットワークの分析を行うと共に、社会ネットワークの特徴を分析するために従来使用されている指標であるアソータティビティ係数とクラスタリング係数と、本研究で提唱する指標(上記のスケーリング指数)との関係を調べた。 その結果、Facebook以外にも、音楽配信サービスdeezer、論文の共著者関係、YouTubeなどのネットワークにおいて1.5のスケーリング指数が確認された一方、Wikipediaや物理的なネットワークでは1.0のスケーリング指数が確認された。 そして、それらの社会ネットワークにおけるアソータティビティ係数とクラスタリング係数と本研究で提唱するスケーリング指数との関係について分析したところ、アソータティビティ係数と本研究で提唱するスケーリング指数との間には強い相関が見られたが、アソータティビティ係数とクラスタリング係数との間には従来指摘されるほど強い相関は見られなかった。さらに、本研究のスケーリング指数とクラスタリング係数との間にもほとんど相関は見られなかった。このことから、実社会ネットワークを特徴づけるアソータティビティ係数の正値性はクラスタリング係数よりも本研究で提唱するスケーリング指数に起因することが示唆される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の後半に本年度の研究計画を再確認し、具体的な作業の方向性を決めていたので、研究分担者と円滑に共同作業ができ、計画通りに研究が進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、本年度の分析結果の一つであるYouTubeのネットワークで見られたスケーリング指数の時間的な変化がその他の実社会ネットワークについても見られるか否かを分析すると共に、このようなスケーリング指数の時間変化を本研究の基盤となる数理モデルに基づき説明することを試みる。具体的には、当該数理モデルの効用関数を飽和効果を含めた非線形関数に拡張するなどを行う予定である。
|