研究課題/領域番号 |
21K12090
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61060:感性情報学関連
|
研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
柴田 滝也 東京電機大学, システムデザイン工学部, 教授 (30349807)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 行動分析・モデル化 / AR SNS / IoT / サイバーフィジカルシステム / AR SNS / 偶発的行動 / デジタルツイン / 拡張現実 / 人間行動モデル / 実・仮想連携環境 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、全体の行動に変化を誘因する個々の人間行動や情報をナッジ要因と定義し、ナッジ要因による行動の変化をナッジ行動(メタ行動と呼ぶ)とし、検証を行う。実環境に仮想環境を繋げた実・仮想共存場を構築し、ナッジ要因を分析する。遠隔地かつ複数人で情報共有可能なAR黒板システムを開発し、メディア情報を、IoTデバイスを用いてマクロ・ミクロ行動取得・推定システムを構築し、人間行動情報を自動獲得する。両情報からナッジ要因を推定し、ナッジ行動を予測する仕組みを構築する。人の行動・流れを変える価値創出を可能にする実・仮想共存場を構築し、コロナ禍の影響を受ける観光地等で実証実験を行う。
|
研究実績の概要 |
人間行動や情報が偶発的な行動に変化を引き起こすと仮定し、個々の低次の行動(人間情報)や情報(メディア情報)に限定したナッジ要因と誘因される偶発的な行動を高次メタ行動の一種としてナッジ行動と定義し、分析・検証を行う。 2022年度では2021年度に構築した行動特性計測システム(日本建築学会技術報告書論文採録)を用いて、(1)店情報を提示するデジタルサイネージ(以下、DSとする)とその情報を見ているサクラの人の影響、(2)情報交換する場として伝言板の影響について実験を行った。また、スマートフォンやタブレット端末で操作可能なAR黒板システム、人物が映ると情報が提示されるAR隠消現実システム(2022HCII国際会議で発表)を構築し、動作確認を行った。以下の実験1,2を行った。 実験1:カフェ前にDS設置+人の有無((a)DS無(b)DS(静止画)+サクラの人有無(c)DS(動画)+サクラの人有無)で来店者の変化を分析する。結果、DS(動画)+サクラの人有がDS瞥見率および来店者率の向上、特に人の存在の影響でDS瞥見率が高くなることが示唆された(日本感性工学会春季大会で発表)。 実験2:大学内に伝言板の設置((a)黒板のみ (b)AR黒板のみ(c)ディスプレー付きAR黒板)による注視者、利用者の変化を分析する。注視者率、黒板利用者率はAR黒板のみでは低く、ディスプレー付きのAR黒板>黒板のみとなったが、ほぼ同率であった。 情報にアクセスする参加場と情報を見るが参加しない移動場の二層構造がある考えると、移動場にいる人が参加場に移動する要因は、実体のある情報提示物(DSや黒板・ディスプレー)や情報を見ている人間行動と関連する一方、実体がないAR黒板は二層構造を持たないため、参加場へのアクセスが少なく、人間行動に変化が起きない可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度に構築した人間の関節情報を取得可能なOpenPoseを用いた実時間の歩行人数、歩行者軌跡を取得する行動計測システムを実環境に設置し、実験を行い、精度高くデータ化が可能であることを確認した。また、複数のスマートフォンやタブレット端末で情報共有可能な操作可能なAR黒板(AR SNS)システムを構築し、実環境内での実験を行った。さらに、ARを用いた新たなコミュニケーションツールとして隠消現実技術を開発し、実装化に成功した。 2022年度は実環境での実験を行い、行動データを分析した結果、情報にアクセスする参加場と情報を見るが参加しない移動場の二層構造が存在する可能性があることが示唆された。特に、移動場にいる人が参加場に移動する要因は、実体のある情報提示物や情報を見ている人間行動と関連すること、一方、実体がないAR黒板は二層構造を持たないため、参加場へのアクセスが少なくなることが示唆された。 ただ、実験データが少ないため、二層構造の存在の確証において問題がある。2023年度は生理指標も導入し、更なる分析を行う。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、現在の行動計測システムはリアルタイム処理に対応していないため、エッジ処理可能な機器を購入して、開発を進める。AR glassが購入可能なら、AR glassに対応するARシステムを構築する。 行動特性以外に非接触に測定できる鼻部皮膚温度などの生理的な指標も導入して分析精度を上げる。 最終的には、参加場と移動場の二層構造の存在および移行する要因を検証するために、公共空間でAR glass(あるいはスマートフォンやタブレット端末)導入時の人間行動データをリアルタイム処理可能な行動計測システムで取得し、行動分析を行う。
|