研究課題/領域番号 |
21K12093
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61060:感性情報学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
野村 亮太 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (70546415)
|
研究分担者 |
島田 裕 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50734414)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 共通入力 / 表現の訴求力 / 同期 / 再構成 / 集合行動 / リカレンスプロット / 観客間相互作用 / 芸術鑑賞 / 生理指標 / 訴求力 / 時系列解析 / 感情 / 劇場 / 非線形時系列解析 / 表情認識 |
研究開始時の研究の概要 |
観客に感情体験を喚起する力(以下、「訴求力」)は、古代ギリシャから現代に至るまで演劇研究の課題であり続けた。こうした表現の訴求力は観客の情報処理に依存しているため、研究者が直接観察することはできず、その強さの比較や影響源となる要素の特定は、未解決の課題として残されている。本研究では、数理的な手法を用いて、観客が表出する集合な応答(表情、身体動揺、瞬目等)を計測した時系列データから表現の訴求力の強さを推定する。その上で、この訴求力に寄与している表現の要素(表情・セリフ・しぐさ等)特定する。これは、劇場で一斉に感情が沸き起こる仕組みを解明し、将来的にはより良い劇場空間づくりに貢献すると期待される。
|
研究実績の概要 |
表現の訴求力は観客の情報処理に依存しているため,研究者が直接観察することはできず,その強さの比較や影響源となる要素の特定は,未解決の課題として残されている.2022年度は,表現の訴求力を観客から得られた指標から再構成するための方法論を確立するために,理論研究を行った.具体的には,瞬目や心拍を念頭に置き,出力である点過程時系列データの情報だけから複数の力学系に共通して与えられる外力(共通入力)を再構成する手法を提案した.ダイナミクスがよく知られている力学系として,Izhikevichニューロンモデルを用いて,提案手法を検討したところ,高い精度で未知の共通入力を再構成できることが明らかになった. こうした検討の中で,現実の鑑賞環境においては,共通入力としてのパフォーマンスの影響に加えて,観客間相互作用が大きな要素であることが明らかになった.そこで,劇場の客席などで周囲の観客から受ける影響を検討するために,観客集団が有する影響力の統計的な検討および予備的な心理実験を複数行なった.具体的には,(1) 集団が選手や審判にパフォーマンスに影響すると仮定されるホームアドバンテージ(2),VR寄席における観客の密度および笑い声の有無が面白さに与える影響,(3)オンラインおよび対面状況における観客サイズ効果等を検討した. 共通入力を再構成する数理的な手法および観客集団が有する影響力の統計的な検討については,それぞれ英文誌にて発表した.また,予備的な検討については,学会にて発表を行なった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究を着実に進めることができた.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,2022年に発表した共通入力の再構成手法を用いて,様々なジャンルの舞台表現・映像作品の訴求力の同定を目指す.ただし,ジャンルによって共通入力の再構成にふさわしい生理指標が異なっている可能性が高いので,小規模の実験参加者を対象に予備的な検討で有益な生理指標を特定した上で,より大規模な実験参加者を対象にした実験を行う.また,共通入力として機能するパフォーマンスの訴求力に加えて,観客間相互作用を取り入れた客席コミュニケーションのモデル化にも取り組む.
|