研究課題/領域番号 |
21K12102
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61060:感性情報学関連
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
伊師 華江 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (10435406)
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研究分担者 |
行場 次朗 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (50142899)
松宮 一道 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (90395103)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 安心感 / 建築空間 / 心理評価 / CG / 居住空間 / 建築 |
研究開始時の研究の概要 |
建築空間の計画において利用者の「安全・安心」を考えることは重要である。本研究では,明確な定義が難しい主観的な「安心」に着目し,建築空間における「安心」が利用者の情緒や行動など複数要素で規定される多面的な高次概念であると仮定する。複数の心理・行動評価実験およびアンケート調査を通して利用者の安心感受構造を明らかにし,建築空間において利用者の「安心」を確保するために必要な科学的知見を整理する。
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研究実績の概要 |
本研究は建築空間に関わる利用者の「安心」に着目し,安心感に影響する様々な要因を実験的に解明して生活者の安心を支える建築空間計画の基礎的知見を得ることをねらいとしている。研究期間2年目にあたる令和4年度は,建築外観および内部の可動的レイアウトと安心感の関係を検討・再分析するとともに,新規に実施する評価実験の研究環境を準備した。主要な内容を以下に記す。 (1)農家レストランを対象とした好ましい佇まいの検討:評価グリッド法を用いたインタビュー調査およびアンケート調査を組み合わせて実施し,収集した評価データを多変量的に解析することで,農家レストランの佇まいの好ましさに関わる心理的な判断基準ならびに好ましい佇まいの具体的構成要素について検討した。検討の結果,農家レストランの好ましい佇まいに関する心理的判断基準の一つとして,「安心感」を含む心地良さ・期待感の因子が抽出され,この因子に関わる飲食店としての店構えや色彩,屋根の特徴などを明らかにした。これらの成果は原著論文として日本感性工学会論文誌に採録された。 (2)建築空間内の可動的間仕切が利用者の心理状態に与える影響:建築の内部空間における間仕切の使用の有無や間仕切の高さが,利用者の心理状態に与える影響を安心感評価等の複数の指標を用いて実験的に検証した。得られた成果をとりまとめて投稿準備中である。 (3)VR技術を用いた主観評価実験の準備:建築空間に関わる利用者の安心を検討するうえで,次年度検討予定のVRヘッドセットを使用した評価実験手法を検討した。建築CADソフトウェアで建築空間のモデルを設計し,レンダリングソフトを経由してVRヘッドセットで観察するまでの一連の手順・流れを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた(1)心理・行動要素と建築空間の安心感との関わりの検討,(2)高安心空間CG制作の2点について研究環境を構築し,研究に着手することができた。その一部は成果が得られ,今後,さらに掘り下げた具体的な検討に繋げる見通しが立てられたことから,現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究中間年度(3年目)に当たる次年度は,前年度までに構築した研究環境および前年度の研究成果を基礎として安心感に関わる建築空間の検討を推進する。 (1)建築空間に対する安心感評価とパーソナルスペースの測定:パーソナルスペースは,他者にそれ以上近づかれると不快やストレスを感じる個人に付随する空間であり,不安と関わる概念である。本研究では,建築空間に対する安心感評価と,その空間内において人と人とが相対するときのパーソナルスペースとの関係を実験的に検討する。パーソナルスペースの測定には停止距離法または質問紙法を用いる。 (2)VR技術を用いた主観評価実験:安心感評価に関わると想定される建築空間の構成要素をCGで定量的に操作し,VR技術を利用した評価実験を行うことによって,各要素が空間の安心感評価に及ぼす影響を検討する。なお,VRを用いた実験実施環境の構築に時間がかかることが課題として予想されるため,研究補助者を採用して計画的に作業を進める。
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