研究課題/領域番号 |
21K12113
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
柏原 考爾 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (40463202)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | オンライン授業 / 生理心理学 / 人工知能 / 脳活動 / 自律神経活動 / 自律神経機能 |
研究開始時の研究の概要 |
オンライン授業は遠隔で誰もが簡単に参加できる利便性がある。しかし、オンライン授業の参加者の視点から、注意・集中力の持続性や健康面の検討は充分になされていない。したがって、オンライン授業における参加者の生理心理特性を、①高次脳機能(大脳皮質での注意・集中力)・②眼球運動(感情変化)・③自律神経活動(精神的負担度)から検討する。学習時の認知心理特性の評価・解析手法を発展させる形で、オンライン授業での精神的な変調(注意力低下、無気力・不安感等)を、生理心理指標から早期に発見し、精神疾患を未然に防ぐ健康支援システムの提案に繋げていく。
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研究実績の概要 |
オンライン授業は全国の教育機関で急速に普及してきたが、参加者の注意・集中力の持続性や健康面への影響は充分に検討されていない。そのため、オンライン授業(対比として対面授業)を想定した学習者の生理心理特性を高次な脳機能(大脳皮質での注意・集中力)や自律神経活動(精神的な負担度・感情の変化)から検討することが重要となる。これまでの研究成果(学習時の認知心理特性の解析・評価手法)をまとめ、種々の環境における学習者の認知・心理的変化(注意力低下・感情変化等)を生体計測により検知し、精神疾患を未然に防ぐ健康支援法(適度な有酸素運動・呼吸調整法等)を検討する。
情動的な刺激が学習者のワーキングメモリ(前頭葉の短期記憶に関連した脳活動)に及ぼす影響を評価するため、感情(中立・快・不快)を変化させる二字熟語を用いた記憶課題を実施した。各計測部位(Fz・Cz・Pz領域)における事象関連電位(脳波)では、熟語が呈示された0.2~0.3秒後に大きな反応が見られ、特に、不快刺激で反応が最も強くなった。Fz領域のウェーブレット解析から、記憶保持の際、中立刺激でθ波(ワーキングメモリに関与)、快・不快刺激でα波のパワーが増大する傾向(個人差も大きい)が見られた。アンケート調査から、感情(快・不快)を喚起する熟語が脳活動にも影響していることが示唆された。
オンライン授業をさらに発展させ、将来的にはVR環境の様な仮想空間での授業・学習も進んでいくと考えられる。そこで、VR環境での認知心理課題(迷路・計算課題)中の脳活動や自律神経活動への影響も検討した。さらに、休憩時に行う適度な身体運動(自転車による有酸素運動)が認知機能に及ぼす効果も検討した。中等度の身体運動では、選択反応課題への応答特性が向上することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
授業や学習時(オンライン・対面)において重要となるワーキングメモリ機能(注意・集中力)と感情状態の変化に着目し、高次な脳機能(特に、前頭葉・頭頂葉の脳波や脳血流)を評価できた。また、種々の学習者を想定し、認知心理課題中に生体計測が行える環境(VR空間への拡張含)を構築してきた。特に、情動的な刺激による注意力の低下と感情・精神的負担度の関係性を検討し、アンケート調査(理解・集中・気分・ストレス度等)も含めて総合的に評価できている。休憩時の効果的な有酸素運動が認知機能に及ぼす効果も検討できている。これらの研究成果は、適宜、学会・研究発表会等にて公表(予定含)している。
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今後の研究の推進方策 |
生体計測データ(脳神経・自律神経活動)の時間-周波数解析を元に、学習者の注意・集中力、感情状態、精神的負担度の評価を行う。特に、前頭葉・頭頂葉を対象とした脳波や脳血流計を用いて、学習者のワーキングメモリに関連する高次な脳機能(注意・集中力)を検討する。また、学習者の注意力低下・感情変化・精神的負担度の変化を検知できる方法(AIによる異常判定)や健康支援法(休憩中の有酸素運動が認知機能に及ぼす効果)も検討する。さらに、オンライン授業における学習者の視覚特性(健康・色弱・白内障・緑内障等)を考慮した認知心理課題(背景色と文字色の最適な組み合わせ等)や生体計測(発汗作用・視線解析等)も実施していく。最終的に、学習者の生理心理指標の変化から感情や健康状態を可視化し、精神的な負担の少ない(注意・集中力が持続する)授業環境を検討する。
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