研究課題/領域番号 |
21K12118
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
松岡 結 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 講師 (30615779)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 代謝モデル / コンピュータシミュレーション / 代謝制御 / 中心代謝径路 / カタボライト制御 / 大腸菌 / 連続培養 / 酸素濃度 / システム生物学 / アミノ酸合成径路 / フィードバック制御 / 微生物 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞は、中心代謝径路によって、様々な炭素源を分解してエネルギーを獲得し、細胞合成に必要な前駆体を生成する(カタボリズム)。それと同時に、細胞は生合成によって、その構成成分を生成している(アナボリズム)。細胞全体の代謝を理解し、有用物質生産の合理的な設計を行うためには、カタボリズムだけでなく、アナボリズムも考慮し、両者を一つに統合した大規模な代謝モデルを構築しなければならない。そこで本研究では、生育環境の変化や遺伝的変異に応答する細胞内の代謝特性を表現でき、細胞工場の設計に応用できる、画期的な大腸菌の大規模代謝モデルの開発を行う。
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研究実績の概要 |
細胞は、グルコースなどの栄養源を取り込んで、増殖に必要なエネルギーや細胞構成成分を合成する。このため、グルコースなどの複数の炭素源をいかに効率的に取り込んで、細胞工場の設計や有用物質生産へと応用するかが重大な課題となっている。本研究では、様々なバイオマスを処理して得られるセルロース、ヘミセルロース由来のグルコースとキシロースの複数の炭素源の取り込みに着目し、代謝調節制御を組み込んだ大腸菌の代謝モデルを用いて、それらの炭素源の消費速度と増殖速度の関係をシミュレーションした。また、複数炭素源(グルコースとキシロース)を用いた大腸菌の回分培養においては、グルコースが優先的に消費され、次にキシロースが消費される、カタボライト制御が働く。そこで本研究では、複数炭素源を用いた連続培養について、コンピュータシミュレーションによる解析を行った。 その結果、野生株でも、比較的高い増殖速度(あるいは希釈率)で、複数炭素源の同時消費が可能であり、ptsG欠損株やpgi欠損株と同程度であることがわかった。また、野生株大腸菌について、酸素濃度を低下させた場合(微好気条件)においては、低い増殖速度で、複数炭素源の同時消費が起こることもわかった。この場合、好気条件と比較して、微好気条件では、グルコース消費速度、キシロース消費速度ともに高くなった。本研究により、好気条件と微好気条件を組み合わせた二槽連続培養によって、効率的な有用物質生産が可能となることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞工場の設計や有用物質生産への応用を念頭に入れて、複数炭素源の効率的な培養法の検討を行うことができた。本研究の代謝モデルは、回分培養だけでなく、連続培養のシミュレーションも行うことができ、さらには、酸素濃度を低下させた場合(微好気条件)のシミュレーションも行える。発酵産物が微好気条件で生成されることが多いため、本研究の代謝モデルは有用物質生産にも役立つ。
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今後の研究の推進方策 |
アミノ酸合成径路を中心代謝径路に組み込むことによって、アミノ酸の生成速度を計算し、この情報に基づいて、リボソーム合成速度を計算する。リボソーム合成速度は、細胞増殖速度と比例関係があることが実験的に分かっている。一方、ATP生成速度も、細胞増殖速度と比例関係があることが実験的に分かっており、本モデルの代謝フラックス分布から求めることができる。リボソーム合成速度とATP生成速度を考慮した細胞増殖速度のモデルを検討し、実験データを用いて検証する。
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