研究実績の概要 |
関節リウマチの生物学的製剤による治療での日和見感染症の頻度を算出して論文化し、NDBデータで得られた知見と今までの市販後調査とのデータの差異について比較し、NDB研究による長期大量の情報の優越性を示し学会発表した。また日本医療情報学会で2年間NDBシンポジウムを主宰し、NDBを用いた研究の概要と課題、将来性について議論した。そしてこれらをまとめてNDBデータの活用方法について投稿を行った。生物学的製剤開始時期の季節的変動を示し、春から夏にピークを示すことからこの時期に関節リウマチが増悪することの傍証となった。 NDBによる肺非小細胞がんの解析は厚労省からデータが供与されたのが2024年1月で実質3か月の解析期間となった。ここでは2019年3月から2022年3月までのレセプトデータを解析した。2022年3月時点において、何らかの治療がされていて肺癌の病名がある患者数は245,435名であり、そのうち非小細胞肺癌 70,607名(腺癌 37,369名、扁平上皮癌 11,068名、大細胞癌 422名、その他 21,748名)、小細胞肺癌 8,009名、その他 166,819名であった。このうち免疫チェックポイント阻害薬を用いているのは9,228名(3.76%)であり、非小細胞癌で7,436名(10.5%)、小細胞癌で1,095名(13.7%)であった。 非小細胞癌での内訳はペムブロリズマブ4,447名、ニボルマブ677名、アテゾリズマブ1,203名、デュルバルマブ1,109名であった。4年間でどの薬剤も使用数は増加しており、特にニボルマブの増加率が高くなっている。レセプトの存在有無で生存率を計算するとニボルマブで1年後51%、2年後31%、3年後21%、ぺムブロリズマブで各59%、38%、26%、アテゾリズマブで55%、29%、19%、デュルバルマブで86%、67%、51%であった。
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