研究課題/領域番号 |
21K12129
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山岸 賢司 日本大学, 工学部, 准教授 (90460021)
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研究分担者 |
坂本 泰一 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (40383369)
石川 岳志 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (80505909)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | RNAアプタマー / 計算化学 / フラグメント分子軌道計算 / 分子動力学計算 / 分子間相互作用 / 分子シミュレーション解析 / 表面プラズモン共鳴 / 等温滴定型カロリメトリ / 分子シミュレーション / 分子設計 / アプタマー / 核酸 / フラグメント分子軌道法 / VIINEC / NMR |
研究開始時の研究の概要 |
RNAアプタマーは抗体に代わる次世代技術として、医薬品分野や診断薬分野などで注目されている。本研究はアプタマー設計に、はじめて計算化学という手法を取り入れ、論理的な観点から新しいRNAアプタマーを設計する基盤技術の構築を目指す。これにより、様々な標的分子に特異的に結合するアプタマーを自在に設計することが可能となり、これまで有効な治療法のなかった疾患に対する治療薬の開発につなげられる。
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研究実績の概要 |
最終年度では、計算化学を用いた論理的な観点から抗体のFc領域に対して既存のアプタマーよりも強く結合すると予測した複数の新規RNAアプタマーを実際に化学合成し、その結合能をin vitro実験により評価した。その結果、従来のアプタマー設計方法では予測できない新たな配列を持つアプタマーを見出すことに成功した。さらに設計したアプタマーに対しては、表面プラズモン共鳴(SPR)法、および等温滴定カロリメトリー(ITC)法による物理化学的手法により、標的分子との結合に伴う熱力学的パラメータを解析した。また、新規配列のアプタマーに対しては、分子動力学計算やフラグメント分子軌道計算などの計算手法を用いて、アプタマーの構造ダイナミクスと標的分子との分子間相互作用を解析した。計算化学により得られた結果とin vitroで解析した結果とを照らし合わせ、配列の違いによりアプタマーの結合能に変化が生じる分子メカニズムについて考察した。 研究期間全体を通じて本研究では、アプタマーの配列の違いやアプタマーに対する化学修飾が、アプタマーの立体構造や標的分子との分子相互作用に与える影響を解析できる基盤技術を構築した。特に、分担者の石川によって考案されたタンパク質間の分子間相互作用を解析できるVIINEC法をアプタマーに展開することで、相互作用の解析で一般的に用いられているエネルギーという観点では解析の難しかったアプタマーと標的タンパク質との静電的な相互作用を、静電的な相補性という新たな視点で解析できるようになった。また、分担者の坂本によってSPRやITC、NMRなどのin vitroによる解析も進め、配列の違いによるアプタマーの熱力学的パラメータについて系統的な知見を獲得した。本研究によるこれらの解析結果はアプタマーの結合の仕組みの理解を深め、計算化学に基づき新規アプタマーを設計するうえで重要な指針となった。
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