研究課題/領域番号 |
21K12131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
山田 訓 岡山理科大学, 情報理工学部, 教授 (20393506)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | コンピュータシミュレーション / 動脈硬化 / シグナル伝達系 / 炎症アンプ / 血管内皮細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
シグナル伝達系パスウエイの挙動に基づいた動脈硬化発症のコンピュータモデルを構築し、動脈硬化発症メカニズムを解明することを目的とする。NFkBとSTAT3が同時に活性化される炎症アンプを含む血管内皮細胞モデルと単球細胞のシグナル伝達系パスウエイのモデルを構築し、血管内や内皮下空間の環境に応じた内皮細胞と単球細胞の挙動を詳細に解析できるモデルを構築する。血液中のLDLやHDL濃度による動脈硬化発症を再現する動脈硬化モデルを構築する。感度分析や各種阻害剤の効果を分析し、動脈硬化発症における炎症アンプの重要性を解析するとともに、動脈硬化発症に重要な反応を特定し、発症メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
アテローム性動脈硬化は以下のようにして進行する。内皮下に蓄積した酸化LDLは内皮細胞の炎症アンプを活性化し、単球の誘引、マクロファージへの分化とマクロファージの泡沫化を誘導して、プラーク形成を誘導する。これが動脈硬化発症のステップである。動脈硬化も炎症が関わる疾患であり、STAT3の活性化が持続するF759突然変異で動脈硬化が憎悪するという報告があるので、炎症アンプが関わっていると考えられる。内皮細胞内に、NFkBとSTAT3を活性化する炎症アンプがあるとし、NFkBの経路とSTAT3の経路の挙動を計算することによって炎症アンプをモデル化した。炎症アンプの活性化によって生じる活性型NFkB-STAT3複合体によってVCAMとM-CSFの産生が誘導されるというモデルである。昨年度構築したモデルの挙動を検討し、パラメータの更新を行った後、血液中のLDL、HDL濃度依存性のシミュレーションを行い、実験結果と一致する結果が得られた。動脈硬化モデルの一つのパラメータを変化させてシミュレーションし、挙動の変化を調べることによって動脈硬化発症に重要な反応を調べる感度分析を行った結果、NFkBとSTAT3の結合反応やNFkBの活性化に関係する反応が重要であることが確認できた。通常の条件では、STAT3の経路の抑制物質であるSOCSが働くので、泡沫化マクロファージの蓄積は一過性で、蓄積が持続しない。1つのパラメータを変化させただけでは、持続的な泡沫化が起こらなかったので、2つのパラメータを変化させるシミュレーションを網羅的に行い、泡沫化が持続する組み合わせを探索した。その結果、NFkBの活性化に係る反応とSOCSによるSTAT3の抑制に係る反応の変化を組み合わせた場合に泡沫化が持続することが見いだされた。以上の結果を日本分子生物学会と日本免疫学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炎症アンプを組み込んだ動脈硬化モデルを構築し、LDL、HDL濃度依存性を計算して、動脈硬化モデルの妥当性を評価した。さらに、1つのパラメータを変化させる感度分析と2つのパラメータを網羅的に変化させるシミュレーションを行い、挙動を比較して、発症の分子メカニズムを分析した。発症に係る分子メカニズムを検討したので、2年目の目標は達成できていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
動脈硬化モデルで色々な条件でのシミュレーションを行い、モデルが予測し、実験で検証可能な条件を特定する。その結果を動脈硬化のマウスを用いた研究や臨床研究を行っている、共同研究者の徳島大学佐田教授に提示し、実証実験の実施を検討する。
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